市域で行われていたヨウカゾウには次のような話が伝えられている。十二月八日に一つ目小僧が来るという。一つ目小僧は家々を回って外に出ている履物にはんこを押し、はんこを押されると疫病にかかってしまうという。一つ目小僧が来ないように、家では、いやな臭いの出るグミの木を焚き、目がたくさんあるメカイを外に吊す。また、一つ目小僧は、災厄を与える家を帳面に書き、セーノカミに帳面を預けて帰る。セーノカミは、一月十四日のお焚き上げで帳面を焼き、二月八日に一つ目小僧が帳面を取りにくると「火事で帳面が燃えてしまった」と伝えるという。そのためどこの家も災厄をのがれることができるのだという。(『叢書5』『叢書7』)