山にかかる雲

653 ~ 655
雷と同じように、山にかかる雲で、天気の判断をする。
  大山さまの夏雲は夕立(乞田)
  東へ雲が流れるとえらく降る(南野)
大山の雷と同じことであるが、大山に夏雲がかかると、多摩市域の方に夕立がくるという。さらに、大山の雲が東の方へ流れると大雨になるという。これは、大山にかかった雲が東へ出て、海に入り、また、海から戻って多摩市のあたりに大雨を降らせるということである。
  富士山の雲は午後から風になる(乞田)
  富士山の右の雲は北風(貝取)
  富士山の左の雲は南風(貝取)
 かつては、多摩市域からも、富士山がよく見えたという。富士山に雲がかかると大風が吹くといって警戒したという。富士山も大山も多摩市の南西の方角にあたる。
 「富士山がふったってるよ、風が強くなるよ(和田)」という。「ふったってる」とは白い雲が立つようにかかっている状態をいう。

写真8-14 落合地区山王下から見た富士山

  丑寅(うしとら)が雲になると降ってくる(和田)
 これは、西から天気が変わることであって「東の方に雲が飛んでいくと崩れる(和田)」ともいう。
  トウサクボウの霧が降りると明日は雨(和田)
 かつては、和田地区から見ると、桜ヶ丘は小高い山であった。そこをトウサクボウと呼んでいた。トウサクボウの途中に堀があって、朝、蒸気が上がっていることがあった。その山の霧が降りると雨になるという。
 「煙がたなびくと翌日は天気がよい(乞田)」ともいう。これは、秋の収穫のころ、外で火を焚いていてよく言ったことばだという。