粉屋踊りの演目

677 ~ 678
丹次郎は「芸がうまく、最高の喉であった」といわれている。丹次郎によって伝えられた演目は次のようであった。括弧の人数は、演ずるための通常の人数である。
  ・三番叟(さんばそう)   (一人)
  ・手踊り   かっぽれ(三人から五人)
         あいぼれ(「かっぽれ」を二人一組で踊るもの。偶数の人数)
         伊勢音頭(三人から五人)
         新川(三人から五人)
  ・踊りと所作 白桝粉屋(二人。四つ竹を持って踊る)
  ・段物    忠臣蔵五段目(七人から八人)
         忠臣蔵三段目(二人)
         みたどの和尚(細田の奴)(一人)
         笠松山(二人)
 ほかに、現在では経験者はいないが『中澤閑想記一』によると「義経千本桜」「越後小台寺」「三人奴(やっこ)」「安珍清姫」があったという。
 祭礼などの舞台では、まず丹次郎が「口上」を述べ、次に「三番叟」が演じられた。「三番叟」のあとは、手踊りや段物が続く。幕間には、手のあいている者によって「ひとつとや」から始まる数え歌が歌われた。これらの演目にはすり鉦と三味線か大正琴の伴奏がついた。