多摩ニュータウンの総面積は約三〇〇〇ヘクタール。行政区域でいうと図9-1のように、東京都の多摩市、八王子市、町田市、稲城市の四市にわたっている。そのうち、多摩市域の事業区域は一二四七ヘクタールで、これは多摩ニュータウン総面積の約四二パーセント、多摩市総面積の実に約六〇パーセントにあたっている。多摩市は、位置的に多摩ニュータウンの中心を占めるとともに面積的にもその中核をなし、同時に、多摩市の大半が多摩ニュータウンに組み込まれることになったのである。多摩ニュータウンの開発は、多摩市にとって未曽有のできごとであった(以下、多摩ニュータウンの説明は、特に断らないかぎり多摩市域内のもののみをいう。)
図9-1 四市にわたる多摩ニュータウン
多摩ニュータウン開発の直接の契機は、昭和三十八年七月に新住宅市街地開発法が制定公布されたことにある。居住環境の良好な住宅地を、大都市周辺に大量供給することを目的とした同法制定を受けて、東京都では、昭和三十九年五月に南多摩新都市建設に関する基本方針を決定した。つづく四十年十二月には新住宅市街地開発事業としての都市計画の決定をみ、いよいよ多摩ニュータウン構想は具体化し、事業着手に向けて動き出すことになった。
開発事業は、東京都、住宅・都市整備公団、東京都住宅供給公社の三者が担当し、関係する四市がこれに協力する形で行われることになった。