在来型自治会

714 ~ 715
これは、第二章で詳述した地区やその下位の講中単位に組織されていた在来の農家を中心とした自治会を核とし、その周辺に移転してきた家々をも含む自治会である。旧連光寺地区馬引沢の馬引沢自治会や、旧乞田地区、旧貝取地区、旧落合地区にあった諸自治会がこれである。これらの中には、周辺の小規模マンションの管理組合をそのまま会員に包含している例もある。また、落合自治連合会のように、旧落合地区内の下落合、青木葉、山王下、中組、唐木田という、かつての各講中ごとに組織されている五自治会の連合組織もある。かつては落合地区には落合自治会だけであったが、ニュータウン開発に伴って各講中周辺に家が多くなり業務量が増えてきたために、落合自治会の下部組織ともいうべき五つの講中単位の自治組織を独立した自治会として正式に認め、落合自治会は解散した。その代わりに、かつての落合自治会としての連帯を維持するために、新たに落合自治連合会を発足させたのである。
 この在来型自治会では、現在も、日常の自治活動のほかに、神社や小祠にかかわる行事もおおむね継続し、集会所や土地など独自の財産も所有している。そのため、山王下自治会のように法人の登記をした自治会もある。これらの自治会には、農業用水の共同管理とか茅屋根葺きの手伝い、土葬時代のような葬送にまつわる互助協力の習俗などはすでに過去のものとなっているが、会員間には、日常のつきあいかたや心意に村落時代の雰囲気が色濃く残されている。