平成八年の夏祭りは八月三日(土)・四日(日)の二日間にわたって、団地の広場で賑やかに開催された。自治会役員を中心にいろいろなサークルや会員有志によって夏祭り実行委員会が組織され、諸準備が進められる。内容の大枠は事例1とほぼ同じで、各種の催しごと、神輿担ぎ、盆踊り、それに手作りの夜店である。団地内の広場中央には盆踊り用の櫓が築かれ、そこを中心に各種の催しごとが行われるのであるが、それらは、商店会が行ういろいろな景品のあたる抽選会、当地出身の新人女性歌手のショー、ボール的当て大会、多摩太鼓の演技など盛りだくさんあり、両日とも行われる、午後八時ごろに周囲を消灯した中で繰り広げられる花火大会は圧巻といえる。
写真9-18 永山団地の夏祭り
この自治会では、大人神輿と子供神輿を所有している。もちろん団地内に神社があるわけではなく、この神輿は、他の自治会から担ぎ手がいなくなったからといって譲り受けたもののようで、平素は倉庫に保管されている。夏祭り当日、大人神輿は実行委員会本部脇に飾っておき、子供神輿だけが二日間にわたって団地内を練るのである(初日は永山三丁目内を、二日目は永山四丁目内を)。子供神輿が広場に戻って一服したころ、スピーカーから流れる各種民謡にあわせて盆踊りが始まり、それには炭坑節コンクールも含まれるというわけである。炭坑節コンクールは各自ゼッケンをつけて踊り、審査員が見てまわって、上手な人、ユニークな踊りをする人に高点を与えるという趣向になっている。
広場中央の櫓を遠く囲むようにして食べ物を中心とする各種夜店が開店するが、これらは会員有志によるものである。スポーツのサークル、趣味のサークル、市民運動団体、市議の後援団体、社会福祉の団体など一五の会が出店したが、これらは、夏祭りへどういう人々が積極的にかかわっているかをうかがう参考になる。また、多くの花がかけられること、事例1と同じである。
右の二つの事例は自治会単位の夏祭りであるが、その他、いくつかの自治会が合同して丁目単位で開催する形態や、自治会が主催し商店会などが協賛するものなど、バリエーションは多い。それらの中でもっとも大規模かと思われるのが、次に述べる落合自治連合会と多摩センター商店会が共催する「落合夏祭盆踊大会」である。