平成八年の「落合夏祭盆踊大会」は、八月三日(土)・四日(日)の二日間にわたって多摩センター駅南口のパルテノン大通りを会場として開催され、曇り時々雨という天候にもかかわらず延べ五万人の人出をみた。落合自治連合会と多摩センター商店会との共同開催で、それに多摩センター連絡会と地元の地方紙発行社が協賛している。この夏祭りと盆踊りを組合わせたイベントは、近代化都市化の波が村落社会を刺激し、その村落社会の行事が、ニュータウン開発に伴って新たに移り住んだ人々を取り込んで異常に大規模化したというもので、大規模化の経緯をたどることは、村落社会とニュータウン開発との相互影響を考えるうえで興味深い。以下、経緯をたどる前に、共催者と協賛者の性格を説明しておく。
落合自治連合会とは、近世村を継承する旧落合地区全体をカバーする自治会である。旧落合地区は五つの集落からなり、各集落はコウジュウ(講中)を組織して日々の互助協同をしていたが、自治会はあくまでも落合自治会だけで、各講中は落合自治会の下位組織でしかなかった。鎮守も落合全体で祀る白山神社一社だけだった。しかし、ニュータウン開発に伴い世帯数が増えてきた結果、落合自治会は組織が肥大化し諸問題にきめ細かく対処することが困難になった。そのため、落合自治会はいったん解散する形をとって各講中を自治会として独立させ、今度はそれら五自治会の連合体として落合自治連合会が結成されたというわけである。
多摩センター商店会とは、ニュータウンの一つの核となるように計画された多摩センターに店舗を持つ商工業者の組織である。この多摩センターは旧落合地区内の主として丘陵部を開発したところに設けられ、京王相模原線と小田急多摩線の多摩センター駅を中心に、デパートや大規模スーパーマーケットなどの大小の商店、ホテル、官公庁施設、病院、銀行、各種会社の営業所等が集まっている地域である。
多摩センター連絡会とは、この多摩センターにかかわる各種団体・企業の連絡会で、平成八年度の会長は落合自治連合会から出、副会長は多摩センター商店会と進出企業中から出ている。会長・副会長を含めて平成八年現在の会員は全部で一八団体・企業で、この中にはデパート、ホテル、電鉄、電力、美術館、文化振興財団等々が名を連ねている。
地元の地方紙発行社は、地元の旧落合地区の出身者が経営している。