共催・協賛団体はすでに述べたとおりだが、平成八年度の場合、六月二十九日(土)夜、白山神社社務所で実行委員会が開かれ、平成八年度大会の計画が練られた。実行委員会は落合自治連合会役員・会員、多摩センター商店会役員・会員、各自治会婦人部代表、交通安全協会第三支部代表、消防団第八分団代表など約六〇名で組織され、各役割分担がきめ細かく決められた。公道で開催するために警察の許可も得た。
当日は、盆踊りと夜店の出店が主たる内容である。盆踊りは、落合自治連合会の五つの自治会および二つの銀行、デパート、農業協同組合の人々がそれぞれ得意の曲目の踊りを披露したのであるが、東京音頭・大東京音頭・平成音頭・落合白山音頭・ポンポコ音頭・お米ありがとう音頭・日本一音頭などが主であった。要するにスピーカーから流れる曲に合わせて踊る各団体の民謡踊りの披露であり、不特定多数者の自由参加は少ないのであるが、駅前の賑やかな大通り四つ辻が会場であり、夜店も多く出ているので見物に訪れる人は非常に多い。これに加えて、太鼓の演技もあった。
夜店の出店については商店会が采配をし、商店会・自治会・多摩センター連絡協議会の会員にかぎって出店が許されている。一〇年ほど前までは露店商も加えていたらしいが、現在は共催・協賛団体の会員に限っている。出店数は多い。また、個人・企業・団体からの花(祝儀)も多くかかり、それに品物も多数寄付されている。
ただし、他の自治会の夏祭りのように、神輿が担がれることはなかった。それは、「夏祭」という名もつけているとはいえ、このイベントがそもそも盆踊りから発展したことと、すでに述べたように落合地区には白山神社があって、そこで九月に伝統的な祭礼が執行されるためであろう。
写真9-19 夏祭りの寄付が貼り出されている
写真9-20 落合夏祭盆踊大会の一こま
以上、多摩ニュータウン区域内の夏祭りについて述べたが、神社とはかかわりのないイベントでありながら神輿を担ぐ例が多く、また、時期が八月の盆に比較的近いこともあって盆踊り的性格を多分に持つものであった。神輿の練りと盆踊りとは、多くの人々を同時参加させ興奮状態にする点で共通しており、日本の祝祭に欠かせないものであろう。また、夜店も手作りで、すべての面で参加型のイベントである。ただ、落合夏祭盆踊大会だけは、多数の人が直接参加する大規模なものではあるが、それ以上に、五万という人出の大多数は参加をしないで見る群衆であり、見物型の都市的イベントだといえよう。