生き物

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 開発前の多摩市付近には、水田や畑が多くみられ、草地やクヌギやコナラなどの林がありました。シカやイノシシの姿はありませんでしたが、ホンドタヌキ、ホンドギツネ、ノウサギなどは普通にみられました。
 雑木林のクヌギやコナラの木には樹液を吸いにカブトムシやコクワガタ、ノコギリクワガタなどが来ていました。シロスジカミキリなどの甲虫類も見られ、オオムラサキなどのチョウもいました。ところどころにはススキの草原があり、ノウサギなども暮らしていました。
 畑や水田、林の近くの草むらにはカヤネズミの巣があり、アズマモグラなどのモグラの仲間も生活していました。
 草むらには、キリギリスやスズムシ、クツワムシなどが季節ごとに虫の鳴き声を届けてくれました。
 谷戸の水田にはドジョウやメダカが泳ぎ、湧水にはサワガニの姿があり、カワニナも棲んでいてホタルの姿もありました。
 乞田川や大栗川には、今では珍しくなったカマツカや大きなギバチが泳ぎ、スナヤツメもいました。堰の付近にはドブガイなどが生活し、ヤリタナゴなども泳いでいました。
 開発前には、実に多種多様な生き物たちが環境に合わせて生活していたのです。(大澤進)
ホンドギツネ 2020(令和2)年4月24日

ホンドギツネ 2020(令和2)年4月24日

[小林健人氏撮影]

キツネの姿を見ることは珍しくなかった。大きく緑が失われたいま、昔からの樹木が残されているわずかな場所にひっそりと暮らしている。撮影地八王子市鑓水。


ノウサギ 2008(平成20)年7月10日

ノウサギ 2008(平成20)年7月10日

[内野秀重氏撮影]

野山で草むらをかける姿がみられた。冬には畑の小麦などをこっそり食べていた。撮影地八王子市別所。


ニホンイタチ 2015(平成27)年10月28日

ニホンイタチ 2015(平成27)年10月28日

[片山敦氏撮影]

川沿いには、魚を食べたりする姿が見られた。撮影地連光寺。


ホトケドジョウ(連光寺産) 2006(平成18)年4月

ホトケドジョウ(連光寺産) 2006(平成18)年4月

[公益財団法人多摩市文化振興財団撮影]

谷戸のきれいな湧き水の流れる場所で泳ぐ小さな群れが見られた。


サワガニ 2004(平成16)年9月28日

サワガニ 2004(平成16)年9月28日

[内野秀重氏撮影]

かつての水田や沢沿いの湿地や谷には、ふつうに姿が見られた。撮影地八王子市別所。


ギバチ 2019(令和元)年8月

ギバチ 2019(令和元)年8月

[大澤進氏撮影]

今ではほとんどその姿が見られず、小さい個体ばかりであるが、かつては大雨などの時に写真のような大型の個体がよく釣れた。撮影地千葉県君津市。