現在は多摩市の指定文化財となっている稲荷塚古墳の発掘には、多摩中学校の生徒たちも参加していたことをご存知でしょうか。
1952(昭和27)年頃、当時多摩村唯一の中学校だった多摩中学校に郷土研究部がつくられました。東京国立博物館の先生と下村静治先生の指導のもと、部員たちは稲荷塚古墳や庚申塚古墳の発掘などに関わりました。稲荷塚古墳の発掘では、大学生と一緒に、近くの住人から鍬やシャベルを借りながら発掘にあたりました。庚申塚古墳の発掘では、刀や耳飾りが出土しました。その後も村のなかの様々な場所で、下村先生は当時の村の古老たちと話をして、調査に歩き、生徒たちも調査に参加しました。
下村先生はのちに多摩村音頭の作詞を手掛けます。音楽の渡邊先生がこの詩に曲をつけ、卒業生たちが歌い、レコードになりました。地域によってはこの曲を流して盆踊りを踊ったそうです。(濱田正喜)