落合には一人立三匹獅子舞がありました。男獅子2匹、女獅子1匹が歌と笛に合わせて舞い、幣負(へいお)いがユーモラスな動きで笑いを誘います。祭礼での楽しみの一つでしたが、1940(昭和15)年を最後に奉納は途絶えました。落合白山神社では、獅子頭や用具類、衣装を保管しており、多摩市有形民俗文化財に指定されています。獅子頭は枝状の突起を持つなど古い形式を示し、江戸後期のものと推定されます。衣装はウチオリと呼ばれる自家用の織物で作られており、昭和初期の衣生活の資料としても貴重なものです。
落合では、粉屋踊りも盛んでした。粉屋踊りは、万作踊りとも呼ばれています。段物と手踊りがあり、すり鉦(がね)や三味線の伴奏がつきました。芸達者な青年たちが「忠臣蔵三段目」などを上演し、喝采を浴びたものでしたが、段物は1946(昭和21)年の上演が最後となりました。三匹獅子舞も粉屋踊りも、関東地方に広く分布し、地域の青年たちが担い手となって伝えてきた民俗芸能でした。(山崎祐子)