多摩ニュータウン開発では土地区画整理事業と新住宅市街地開発事業の2つの手法がとられましたが、土地区画整理事業では個々の住宅がそれぞれ移転を進めていると非常に時間がかかるという問題がありました。そこで考えられたのが「集団中断移転方式」(以下、集団移転)です。集落が一時的に別の場所に仮移転をし、空いた区画整理地区の開発を一気に進める方法でした。
多摩市では山王下地区が1978(昭和53)年3月から翌年9月まで山王下2丁目に仮移転し、短期間で造成をおこなうことに成功しました。その後、青木葉地区や鶴牧地区などでも新住地区の建物を仮住まいに用いた集団移転がおこなわれました。(田中登氏への取材をもとに事務局作成)
同意書 1978(昭和53)年
[田中登氏所蔵/『ニュータウン誕生』より]
山王下地区の集団移転への同意書。1978(昭和53)年3月末日までに所有する建物などを除去し、東京都が建設する仮住居施設に転居することなどが記されている。
臨時収容舎一時使用願 1978~79(昭和53~54)年
[田中登氏所蔵/『ニュータウン誕生』より]
仮住居施設は、法律上は「臨時収容舎」という名称だった。
仮住居施設の様子 1979(昭和54)年
[小林一造氏撮影/『ニュータウン誕生』より]
山王下地区の仮住居施設は山王下2丁目に設けられた。
山王下区域の変化1965(昭和40)年頃
[田中登氏所蔵/『ニュータウン誕生』より]
1978(昭和53)年3月
[田中登氏所蔵/『ニュータウン誕生』より]
1979(昭和54)年4月
[田中登氏所蔵/『ニュータウン誕生』より]