多摩ニュータウンの造成による変化は地域全体の変化であり、江戸時代あるいはそれ以前から続いた神社仏閣も例外ではありません。開発の流れの中で廃絶した神社もありましたが、中組稲荷社・秋葉神社・御嶽神社の三社は改めて同じ地に並んで祀られました。乞田八幡神社や和田地域の愛宕神社などは現在の地に遷座されました。ニュータウン造成の後、1989(平成元)年に復活した瓜生御嶽神社のような例もあります。
落合の白山神社は、1983(昭和58)年9月に大掛かりな遷宮、本殿の新築がなされました。多摩ニュータウンの開発による区画整理に伴い境内地を整備し、旧社殿を解体し、新しく本殿と拝殿を一体化した権現造りの本殿を造営、遷宮し、地域の鎮守社として再出発をしました。遷宮の際には途絶えていた三匹獅子舞も復活奉納されました。そして地域の守護神として、人々の中核をなす役割を果たし続けているのです。(金丸和子)
愛宕神社遷宮祭 1971(昭和46)年10月
[『火祭り 愛宕神社』より]
愛宕山山頂にあった愛宕神社は多摩ニュータウン開発により山の傾斜地に移転し、遷宮祭がおこなわれた。
乞田八幡神社移転後初の祭礼 1974(昭和49)年
[増田匠氏所蔵]
左の写真は、1974(昭和49)年の遷座の後の市民による祭の様子。
乞田八幡神社 2007(平成19)年
[増田匠氏所蔵]
瓜生御嶽神社入魂式 1989(平成元)年9月3日
[市川洋子氏所蔵/『開発を見つめた石仏たち』より]
御嶽神社の入魂式の様子。この年、瓜生地域では、御嶽講がおこなわれ、青梅市の御嶽神社に太太神楽の奉納がおこなわれた。
白山神社旧本殿のある風景 1975(昭和50)年
[峰岸松三氏所蔵/『開発を見つめた石仏たち』より]
白山神社は、遷座以前は開発が進むニュータウンを望む地にあり、落合村の鎮守社だった。
白山神社古神像 男神像、女神像
[峰岸松三氏所蔵]
別当寺であった寺との関わりとみられる十一面観音像や神像など、平安・鎌倉時代に遡るともみられる木像。
白山神社昭和遷宮祭 1983(昭和58)年9月16日
[小林一造氏撮影・公益財団法人多摩市文化振興財団所蔵]
区画整理により解体された社殿を新たに造営し、その遷宮祭の様子。
白山神社新本殿 1983(昭和58)年
[峰岸松三氏所蔵]
本殿、石の間、拝殿を一体とする権現造りの新本殿。