多摩市の商業

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 昭和30年代の聖蹟桜ヶ丘駅前は数件の店舗があるのみの、のどかな駅前風景で、車の通行もまばらな静かな街でした。1967(昭和42)年、桜ヶ丘住宅の開発以降、人口が増え、1969(昭和44)年には駅舎も高架化。駅前に京王ストア、現さくら通りに西友ストアがオープンし、一気に流通革命の波が押し寄せてきました。商店も結束し「多摩商業協同組合」を設立します。
 川崎街道の道路整備後、商店も増えたため組合を解散し、駅東口に「中央商店会」、南側に「桜ヶ丘南口商店会」が発足し、競い合う体制になりました。1973(昭和48)年には聖蹟桜ヶ丘ショッピングセンター、ザ・スクエアショッピングセンターがオープン。その後、桜ヶ丘オーパショッピングセンターなど大型施設がオープンします。個人商店との確執が生まれ、「大店法」(大規模小売店舗立地法)が施行。商工会に調整機関が設置されます。この頃から他地区との競争になり、商店街と大型店とがスクラムを組む桜ヶ丘商店会連合会ができ、現在に至っています。集客や他市との差別化のため、「せいせき多摩川花火大会」、「せいせき桜まつり」、「せいせき朝顔市」など地域を挙げたイベントを通年に開催して、街の活性化を図ってきました。
 しかし、少子高齢化やインターネットなど生活様式の変化が商業活動に波及し、ここ10年、個人商店が減少する反面、ネット通販などが増加。買い物のスタイルが大きく変わってきました。聖蹟桜ヶ丘北口、西側には未開発地区があり、今後マンション開発などで大幅な人口増が見込まれています。多摩川を背に、南に丘陵地を抱える環境の良い聖蹟桜ヶ丘は、徐々に街の姿を変えていきます。(森田利夫)
聖蹟桜ヶ丘駅周辺の様子 2012(平成24)年8月

聖蹟桜ヶ丘駅周辺の様子 2012(平成24)年8月


中央商店街 1965~74年(昭和40年代)以降
中央商店街 2017(平成29)年

中央商店街
(左)1965~74年(昭和40年代)以降 (右)2017(平成29)年

北側から撮影したもの。森田商店の奥に多摩精肉店の看板が見える。奥に見えるオーシャンバーは、三楽オーシャンによって設置されたオーシャンウィスキーを飲めるバー。ここは以前、牛乳屋であった。


桜まつり 1986(昭和61)年4月

桜まつり 1986(昭和61)年4月


 
聖ヶ丘の商店街広場の変化
1984(昭和59)年3月、聖ヶ丘の街びらきとともに「いなげや」がオープンした。「いなげや」は2011(平成23)年3月に撤退。4月に「ユアーズ」が開店するものの、これも10月に閉店した。2年後の2013(平成25)年12月、「Big・A」(ビッグ・エー)が従来の建物の半分の広さで、生鮮食品の品数を絞り込んだ小型スーパーとして開店した。UR都市機構は2014(平成26)年11月から建物半分の減築工事(取り壊し)をおこない、取り壊した部分をBig・A専用駐車場に造り替えた。
2008(平成20)年8月

2008(平成20)年8月


2012(平成24)年3月

2012(平成24)年3月


2016(平成28)年7月

2016(平成28)年7月


(参考)多摩市内の商店数・店舗面積

(参考)多摩市内の商店数・店舗面積