多摩ニュータウン計画は、近隣住区理論に基づいて街づくりされました。一つの近隣住区は人口約8,000人、近隣公園1か所、街区公園4か所、2小学校、1中学校、1近隣センターを基本としました。また、「遊歩道」(道路法の歩行者・自転車専用道路)を全面的に導入することにより、歩行者交通と自転車交通が自動車交通と分離されています。
多摩ニュータウンの元の地形は、東西方向の主尾根から北に向けて多くの支尾根がフィンガー状に伸びて、小さな谷戸はそれぞれ大栗川、乞田川の大きな谷戸に続いている地形でした。支尾根の面積は約60~120haで、それらの各支尾根が1または2の近隣住区として計画されました。それぞれの谷戸は昔からの集落、水田、畑等が存在していました。谷戸は、多摩ニュータウン計画により、土地区画整理事業により整備され、雑木林を主体とする尾根の大部分は新住事業区域として整備されました。
隣り合う支尾根部分の新住事業区域とを相互に連絡し、谷戸に計画された幹線道路を立体的に横断できるように遊歩道の橋梁が多く架けられています。その一つの事例が貝取地区と豊ヶ丘地区の間にかかるバルコニー橋です。また、バルコニー橋は区画整理事業区域と新住事業区域との境界を示す目印を兼ねたランドマーク的役割を持った橋としてデザインされました。(大石武朗)