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『おしゃもじさま』 |
むかし このむらの とよぐちやまに、おおきなきの しげった もりがあった。 |
あやのおかあさんは あやが うまれて すぐに しんでしまい、おじいさんと おとうさんは とおくのくにの いくさに いったきり かえって こなかった。 |
それでも おばあさんは ごはんを たくたびに いしがみさまへの、すこしばかりの おそなえを わすれなかった。 |
あるとしのこと、このむらに わるい やまいが はやった。 |
おばあさんは とうとう つかれきって ねむってしまった。 |
つぎのあさ、おばあさんは いそいで いしがみさまに ゆき、あやの やまいのことを おねがいした。 |
そこで、さっそく おばあさんは その おこめで ごはんをたいて あやに たべさせようとした。 |
もうひとくち たべると、また すこし らくになった。 |
あやが たべおわったとたん、おばあさんは たいへんな ことに きがついた。 |
「こまった。もうしわけない。」 |
この はなしは たちまち むらじゅうに しれわたり、びょうにんのいる うちでは、みな いしがみさまに おしゃもじを おそなえした。 |
おしゃもじさま―唐木田物語より― |