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多摩市
はじめに
多摩市は、東京都のほぼ中央に位置し、東経139度26分、北緯35度38分(多摩市役所)、北は多摩川を境に府中市、東は稲城市、南は神奈川県川崎市と町田市、西は八王子市と日野市に接しています。面積は、21.01㎢(うち多摩ニュータウン多摩市域分12.47㎢)、人口は147,528人です。(2022(令和4)年1月1日現在 住民基本台帳)
桜ケ丘住宅地・百草団地・多摩ニュータウンなど計画的に開発されてきた多摩市は、農村地帯から近代的な住宅都市に変貌を遂げました。現在の多摩市は、計画的に配置された公園や緑地、遊歩道によって街全体が特色ある豊かな緑景観に囲まれています。
空撮したパノラマからは、計画的に開発された街並みが広がります。はじめに、多摩ニュータウン開発について紹介します。
多摩ニュータウン開発について
1 多摩ニュータウン開発構想
昭和30年代の高度経済成長期、産業の発展により、都市部での雇用が増大し、農村部から大都市へ人口が大量に流入しました。当時の多摩丘陵一帯は、距離的には都心に近いが交通条件が整っておらず、複雑な地形構造であったことから、市街化は進展せず、多摩川左岸の武蔵野台地に比べると取り残された形になっていました。しかし、東京都心部の深刻な住宅難を背景に、小規模で無秩序な宅地開発がおこなわれるようになりました。
これを放置しておくと、将来の都市計画上、重大な障害になることが予想されたため、東京都では、1960(昭和35)年に首都整備局を設置し、南多摩地域での大規模ニュータウン構想の検討を始めました。1963(昭和38)年7月、大都市周辺に住居環境の良い住宅地を大量に供給することを目的とする新住宅市街地開発法が制定公布されたことなども合わせ、1964(昭和39)年5月東京都において「南多摩新都市建設に関する基本方針」が決定され、1965(昭和40)年12月都市計画決定へと進み多摩ニュータウン開発構想は具体化されることになりました。
2 多摩ニュータウン開発基本方針
(1) 住区構成
住区構成は近隣住区理論に基づき、多摩ニュータウンでは日常生活圏として、1中学校区をコミュニティとする全21住区で構成されました。1住区の人口は約10,000~15,000人。2近隣公園、数か所の街区公園、1中学校、2~3小学校、2近隣センターを基本としました。住区内には、日常生活に必要な店舗が集約された近隣センター、保育所、幼稚園、学校、公園などが計画的に配置されました。
また、鉄道駅を中心とする幾つかの住区が集まって地区が構成され、中心核に地区センター、遠くに地区公園・高校などが計画されました。さらに、ニュータウン全体を対象として大規模な商業、業務、文化施設、中央公園などを多摩センター駅中心に配置した、ニュータウンセンターが計画されました。
(2) 多様な交通網
かつて多摩ニュータウン区域は、鉄道路線の空白地帯でした。ニュータウン入居者の都心方面への通勤通学手段を確保するため、大量輸送可能な公共交通機関として、都心とニュータウンを結ぶ鉄道敷設が、ニュータウン開発には必要不可欠な条件でした。開発に伴い、京王相模原線と小田急多摩線が計画されました。京王相模原線は京王稲田堤駅、京王よみうりランド駅が1971(昭和46)年に、稲城駅、若葉台駅、京王永山駅、京王多摩センター駅が1974(昭和49)年に開業しました。小田急多摩線は、新百合ヶ丘駅、小田急永山駅間が1974(昭和49)年、小田急多摩センター駅は1975(昭和50)年、唐木田駅までの区間が1990(平成2)年に開業しました。また、多摩地域を南北につなぐ多摩都市モノレールの多摩センター駅は、2000(平成12)年に開通し立川方面へと多摩地域を南北につないでいます。
各駅へはバスネットワークを形成させている路面交通を主としています。道路の計画にあたっては、人命尊重、歩行者の安全確保の見地から、遊歩道ネットワークを形成し、立体交差をふんだんに取り入れた歩車分離を図っています。
(3) 緑豊かな住環境整備
多摩丘陵は、古くから身近な自然とレクリエーションの場として、多くの人に親しまれてきました。昔からの緑を保全し、造成により失われた緑をよみがえらせ、新しい緑を育てることを基本としています。緑とオープンスペースを住区面積の30%以上確保することを目的に、多種多彩な現存する緑を極力、公園・緑地計画のなかに取り入れ、街路樹、遊歩道、法面や住宅地の緑も含め、緑の保全と育成を図るように計画されました。
3 特色ある景観をパノラマ画像で見てみよう
多摩市内3か所(多摩市役所、多摩市立図書館本館、東永山複合施設)の上空から空撮したパノラマから、多摩市全域を見ることができます。小・中学校、文化財 、また、多摩市の特色である緑豊かな公園、数多く設置されている橋梁、ニュータウン開発区域の住宅地を紹介します。
〇多摩市立小・中学校
多摩市の小・中学校は、市制施行前には5校でしたが、多摩ニュータウンの開発に伴う児童・生徒数の増加を受け学校を設置し、1989(平成元)年度には、37校(小学校25校、中学校12校)となりました。その後は、市内のニュータウン開発が収束していったこともあり、児童・生徒数は減少に転じ、全市的な通学区域の見直し、学校統合を行い、2022(令和4)年現在、小学校17校、中学校9校となっています。
パノラマ内のアイコンをクリックすると、該当の小・中学校のデータを見ることができます。2021年度までに統廃合となった幼稚園・小中学校については下記のリンクから見ることができます。
〇文化財
多摩市内には、過去から伝えられてきた自然や先人の文化遺産が残されています。これらを「文化財」と呼んでいますが、特に保護・保存が必要なものについては、国や地方自治体が「指定文化財」や「登録文化財」に指定・登録しています。
パノラマ内のアイコンをクリックすると、主だった文化財を見ることができます。(市内5か所)
〇公園
1970年代当初の多摩ニュータウンの公園緑地計画では、多摩中央公園と多摩東公園、一本杉公園の大公園、各住区内には、2か所の近隣公園と数か所の街区公園を計画しました。その後の落合・鶴牧地区の開発では、宝野公園、奈良原公園、鶴牧東公園、鶴牧西公園が連続配置されるなど、近隣住区モデルからの脱却をめざし日本で稀な緑豊かな住宅地環境を形成しています。
多摩市全域では、公園162か所、緑地46か所の面積の合計は2㎢、市民一人当たりの面積は13.6㎡です。(2021(令和3)年4月1日現在)パノラマ内のアイコンをクリックすると、特色のある公園を見ることができます。(市内6か所)
〇橋梁
多摩ニュータウン開発では、歩行者専用の遊歩道の導入により広域的に網の目のように遊歩道ネットワークが形成されました。幹線道路を立体的に横断できるよう遊歩道の橋梁が多く架けられ、歩行者・自転車交通が自動車交通と分離されています。
河川に架かる橋も含め、多摩市全域で181か所の橋梁があります。ニュータウン地域にとどまらず、魅力のある橋梁を紹介します。
パノラマ内のアイコンをクリックすると、特色のある橋梁を見ることができます。(市内5か所)
〇住宅地の特徴
昭和40年代から長きにわたり開発が進む中で、住環境に求められるものも変化してきました。
多摩ニュータウン開発区域のうち、多摩市域の地区の住環境について紹介します。
パノラマ内のアイコンをクリックすると、地区の特色を見ることができます。(市内5地区)
- 【主要参考文献】
- 『多摩ニュータウン事業概要』住宅・都市整備公団南多摩開発局 1997(平成9)年
- 『多摩ニュータウン』多摩市役所都市整備部都市計画課 2021(令和3)年
- 『多摩市市制施行50周年記念誌』多摩市 2021(令和3)年
多摩市役所上空
多摩市役所屋上上空から撮影しています。
多摩市役所は、かつての村・町役場の時代とほぼ同じ場所に位置しています。
多摩市役所 所在地:東京都多摩市関戸6-12-1
※施設名は2022(令和4)年3月31日現在のものです。
多摩市役所上空120メートルより撮影(2021(令和3)年7月17日 午前8時00分)
小学校 | 多摩第一小学校 |
多摩第二小学校 | |
多摩第三小学校 | |
連光寺小学校 | |
東寺方小学校 | |
聖ヶ丘小学校 | |
愛和小学校 | |
中学校 | 多摩中学校 |
東愛宕中学校 | |
和田中学校 | |
聖ヶ丘中学校 | |
文化財 | 木造随身倚像 |
稲荷塚古墳 | |
霞ノ関南木戸柵跡 | |
多摩ニュータウンNo.57遺跡 | |
旧多摩聖蹟記念館 | |
橋 | 若鮎橋 |
ヴィータブリッジ | |
聖ヶ丘橋 | |
公園 | 大谷戸公園 |
乞田貝取ふれあい広場公園 | |
ニュータウン | 貝取・豊ヶ丘地区 |
聖ヶ丘地区 | |
和田・愛宕・東寺方地区 |
東永山複合施設上空
東永山複合施設のグラウンドから撮影しています。旧東永山小学校の跡地施設です。
東永山複合施設 所在地 東京都多摩市永山3-9
※施設名は2022(令和4)年3月31日現在のものです。
東永山複合施設上空120メートルより撮影(2021(令和3)年7月17日 午前9時00分)
小学校 | 北諏訪小学校 |
諏訪小学校 | |
永山小学校 | |
瓜生小学校 | |
貝取小学校 | |
中学校 | 諏訪中学校 |
多摩永山中学校 | |
青陵中学校 | |
公園 | 瓜生緑地 |
ニュータウン | 諏訪・永山地区 |
その他 | ふるさと資料館 |
多摩市立図書館本館上空
多摩市立図書館本館のグラウンドから撮影しています。
多摩市立図書館本館は、旧西落合中学校跡地施設にあります。かつての学校の雰囲気が感じられる図書館です。近くには、大きな池のある多摩中央公園があり、市民の憩いの場になっています。
多摩市立図書館本館 所在地 東京都多摩市落合2-29
※施設名は2022(令和4)年3月31日現在のものです。
※多摩市立図書館本館は、令和5年5月7日に閉館し、多摩市立中央図書館として令和5年7月1日に多摩中央公園内に開館しました。
旧西落合中学校は、統廃合となった幼稚園・小中学校からご覧いただけます。
多摩市立図書館本館上空120メートルより撮影(2020(令和2)年9月15日 午前8時30分)
小学校 | 南鶴牧小学校 |
西落合小学校 | |
大松台小学校 | |
東落合小学校 | |
豊ヶ丘小学校 | |
中学校 | 鶴牧中学校 |
落合中学校 | |
文化財 | 川井家住宅 |
旧川井家住宅土蔵 | |
旧有山家住宅・旧加藤家住宅 | |
旧富沢家住宅 | |
橋 | Y字橋 |
恐竜橋 | |
公園 | 多摩中央公園 |
宝野公園・奈良原公園 | |
鶴牧東公園 | |
ニュータウン | 落合・鶴牧地区 |