差上申一札之事(武州野津田村清太夫外五人隠し酒造いたし候一件につき)

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    差上申一札之事
一武州野津田村清大夫外五人隠シ酒造
 いたし候一件再応御吟味之上左之通
 被仰渡候
一清大夫儀酒造之儀隠造ハ勿論過造等も
 堅致間敷旨近来厳重之御触も有之
 候所名主役不相勤以前右御触之趣
 相背去ル巳年より未年春迄隠酒造いたし
 其後及困窮相止候段者御出役之御方ニ
 御改をも受相違無之候得共一旦隠酒造
 いたし候段不埒ニ付酒造道具御取上ヶ
 過料銭五貫文被仰付候
一野津田村組頭清兵衛儀酒造之儀隠し
 造者勿論過造等堅致間敷旨近来
 厳重之御触茂有之候所村方清大夫
 右御触之趣相背去ル巳年より未年まで
 隠酒造いたし候を差留候ハヽ取続ニも
 抱り可申候迚其儘等閑ニいたし候段
 不埒ニ付急度御被置候
右被 仰渡之趣一同承知奉畏候
且過料銭之儀者三日之内大貫治右衛門様
御役所江可相納旨被 仰渡是亦
承知奉畏候若相背候ハヽ重科可被
仰付候仍御請証文差上申処如件
 享和四子年二月四日
           山口孫次郎知行所
            武州多麻郡野津田村
             名主三左衛門親
                   清大夫
                同村組頭
                   清兵衛
  御郡代様
  御役所
右之通御郡代中川飛騨守様於 御役所
被 仰渡候間乍恐以奥書此段御届奉申上候以上
 子二月五日
          御知行所
           武州多麻郡野津村(田)
            名主三左衛門父
                  清太夫
                組頭
                  清兵衛
  御地頭様
   御役人中様
      清太夫外五人之訳
      道具御取上過料五貫文  常久村百姓甚右衛門
      同断          長沼村百姓宇兵衛
      道具御取上ヶ年寄役   鶴間村年寄喜兵衛
      取放過料五貫文
      道具御取上ヶ名主役   同村名主七郎兵衛
      取放過料五貫文
      道具取上ヶ過料 五貫文 野津田村名主仁右衛門
      同断         清太夫
 


 
【読み下し文】

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    ()()(もう)一札(いつさつ)(こと)
一、(ひとつ)武州(ぶしゆう)野津田村(のづたむら)清大夫(せいだゆう)(ほか)五人(ごにん)(かく)酒造(しゆぞう)いたし(そうろう)一件(いつけん)再応(さいおう)()吟味(ぎんみ)(うえ)
 ()(とお)り、(おお)(わた)され(そうろう)
(ひとつ)清大夫儀(せいだゆうぎ)酒造(しゆぞう)儀隠造(ぎいんぞう)勿論(もちろん)過造等(かぞうなど)(かた)(いた)間敷(まじき)(むね)近来(きんらい)厳重(げんじゆう)
 の御触(おふれ)()()(そうろう)(ところ)名主(なぬし)(やく)相勤(あいつと)めざる以前(いぜん)(みぎ)御触(おふれ)(おもむき)相背(あいそむ)き、()
 る巳年(みどし)より未年(ひつじどし)春迄(はるまで)(かく)酒造(しゆぞう)いたし、其後(そのご)困窮(こんきゆう)(およ)相止(あいや)(そうろう)(だん)は、
 ()出役(しゆつやく)御方(おかた)()(あらた)めをも()相違(そうい)()()(そうら)()(ども)一旦(いつたん)(かく)酒造(しゆぞう)
 たし(そうろう)(だん)不埒(ふらち)()き、酒造(しゆぞう)道具(どうぐ)御取(おと)()げ、過料銭(かりようせん)五貫文(ごかんもん)(おお)()けら
 れ(そうろう)
(ひとつ)野津田村(のづたむら)組頭(くみがしら)清兵衛(せいべえ)()酒造(しゆぞう)()(かく)(づく)りは勿論(もちろん)過造(かぞう)(など)(かた)(いた)間敷(まじき)
 (むね)近来(きんらい)厳重(げんじゆう)御触(おふれ)()()(そうろう)(ところ)村方(むらかた)清大夫(せいだゆう)(みぎ)御触(おふれ)(おもむき)相背(あいそむ)き、
 ()巳年(みどし)より未年(ひつじどし)まで(かく)酒造(しゆぞう)いたし(そうろう)()()(そうら)()ば、()(つづ)
 にも(かかわ)(もう)すべく(そうろう)(とて)其儘(そのまま)等閑(とうかん)にいたし(そうろう)(だん)不埒(ふらち)()き、急度(きつと)(しか)
 り()かれ(そうろう)
(みぎ)(おお)(わた)さるの(おもむき)一同(いちどう)承知(しようち)(かしこま)(たてまつ)(そうろう)()過料銭(かりようせん)()は、三日(みつか)
(うち)大貫(おおぬき)治右衛門(じえもん)(さま)御役所(おやくしよ)相納(あいおさ)むべき(むね)(おお)(わた)され、()(また)承知(しようち)(かしこま)
(たてまつ)(そうろう)()相背(あいそむ)(そうら)()ば、重科(じゆうか)(おお)()けらるべく(そうろう)(よつ)御請(おうけ)(しよう)
(もん)()()(もう)(ところ)(くだん)(ごと)
 享和四子年二月四日
          山口孫次郎知行所
           武州多麻郡野津田村
            名主三左衛門親
                  清太夫
               同村組頭
                  清兵衛
  御郡代様
    御役所
(みぎ)(とお)り、御郡(おんぐん)代中川(だいなかがわ)飛騨守様(ひだのかみさま)御役所(おやくしよ)()いて(おお)(わた)され(そうろう)(あいだ)(おそ)(なが)
奥書(おくがき)(もつ)て、此段(このだん)()(とど)(もう)()(たてまつ)(そうろう)以上(いじよう)
 子二月五日
          御知行所
           武州多麻郡野津村((田))
            名主三左衛門父
                  清太夫
                組頭
                  清兵衛
  御地頭様
   御役人中様
      清太夫(ほか)五人(ごにん)(わけ)
    道具(どうぐ)御取(おと)()げ、過料(かりよう)貫文(かんもん)  常久村百姓甚右衛門
    同断(どうだん)長沼村百姓宇兵衛
    道具(どうぐ)御取(おと)()げ、年寄(としより)(やく)()(はな)ち、過料(かりよう)五貫文(ごかんもん)
                               鶴間村年寄喜兵衛
    道具(どうぐ)御取(おと)()げ、名主役(なぬしやく)()(はな)ち、過料(かりよう)五貫文(ごかんもん)
                               同村名主七郎兵衛
    道具(どうぐ)()()げ、過料(かりよう)五貫文(ごかんもん)
                               野津田村名主仁右衛門
    同断(どうだん)     清太夫