書状(近藤先生額面木口完成につき)

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【解読文】

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一翰啓上仕候向暑之節ニ
御座候処御全家様御揃
益御壮栄ニ可被遊御座候奉
恐賀候然ハ段々御厚配
被成下候近藤先生額面
木口之儀色々手違等ニ而
延引仕候処漸四月中
出来ニ相成拙宅迄引取置候ニ付
早々府中宿迄可遣之処打続
雨天ニ而道筋あしく出水
等度々ニ而乍存延引ニ罷成申候
先日日野宿佐藤氏よりも
引取之儀申参り何れ手馴候
車力人足相雇綱引ニて
門人之内ニて手伝ニ出候ものも
可有之由ニ御座候漸御天気も
上り候ニ付手操仕近日府中迄
為挽遣し候心組ニ御座候間此段
御案内旁申上候尤此節
農業繁多之時節ニ而人足
不揃ニ付未タ当日ハ何日とも
定り不申候得共不遠内遣候
之積りニ御座候間此段御承引
可被下候先者右之段申上度如斯ニ
御座候早々以上
 五月廿四日   長木屋
          源右衛門
 青木勘次郎様
     机下
(封筒表書)
「相原村    長木屋
 青木勘次郎様  源右衛門(印)
        急用書     」
(封筒裏書)
「       八王子より
  封
      五月廿四日     」
 


 
【読み下し文】

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一翰啓上(いつかんけいじよう)(つかまつ)(そうろう)向暑(こうしよ)(せつ)御座(ござ)
(そうろう)(ところ)御全家様(ごぜんかさま)御揃(おそろ)い、(ますます)御壮栄(ごそうえい)(あそ)
ばさるべく御座(ござ)(そうろう)恐賀(きようが)(たてまつ)(そうろう)(しか)
らば、段々(だんだん)御厚配(ごこうはい)()(くだ)され(そうろう)近藤(こんどう)先生(せんせい)
額面(がくめん)木口(こぐち)()色々(いろいろ)手違(てちが)(など)にて延引(えんいん)(つかまつ)
(そうろう)(ところ)(ようや)四月(しがつ)(ちゆう)出来(しゆつたい)相成(あいな)り、
拙宅(せつたく)(まで)()()()(そうろう)()き、早々(そうそう)()
(ちゆう)宿(しゆく)(まで)(つか)わすべきの(ところ)打続(うちつづ)雨天(うてん)
道筋(みちすじ)あしく、出水(しゆつすい)(など)度々(たびたび)にて、(ぞん)(なが)
延引(えんいん)(まか)()(もう)(そうろう)
先日(せんじつ)日野(ひの)宿(しゆく)佐藤氏(さとうし)よりも()(りの儀申(ぎもう)
(まい)り、(いず)手馴(てな)(そうろう)車力(しやりき)人足(にんそく)相雇(あいやと)い、
綱引(つなひき)にて、門人(もんじん)(うち)にて手伝(てつだ)いに()(そうろう)
ものも()()るべき(よし)御座(ござ)(そうろう)(ようや)
御天気(おてんき)(あが)(そうろう)(つき)手操(たぐ)(つかまつ)り、(きん)
(じつ)府中(ふちゆう)(まで)()かせ(つかわ)(そうろう)心組(こころぐ)みに御座(ござ)
(そうろう)(あいだ)()(だん)御案内(ごあんない)(かたがた)(もう)()(そうろう)(もつと)
()(せつ)農業(のうぎよう)繁多(はんた)時節(じせつ)にて、人足(にんそく)(そろわ)
るに(つき)(いま)当日(とうじつ)何日(いつ)とも(さだま)(もう)
(そうら)()(ども)(とおか)らざる内遣(うちつか)わし(そうろう)(つも)
御座(ござ)(そうろう)(あいだ)(この)(だん)御承引(ごしよういん)(くだ)さるべく
(そうろう)()ずは(みぎ)(だん)(もう)()(たく)(かく)(ごと)
御座(ござ)(そうろう)早々(そうそう)以上(いじよう)
 五月廿四日   長木屋
          源右衛門
 青木勘次郎様
     机下(きか)
(封筒表書)
「相原村    長木屋
 青木勘次郎様  源右衛門(印)
        急用書     」
(封筒裏書)
「       八王子より
  封
      五月廿四日     」