旗本支配

 元禄10(1697)年、500俵以上の蔵米取りの旗本に対し、地方知行に切り替える「元禄の地方直し」が実施されました。市域では旗本領が増え、18世紀初めには、支配領主がほぼ確定します。江戸近郊の村むらは、江戸に住む領主である旗本の消費生活を支えるため、さまざまな負担を強いられました。さらに旗本財政の悪化により、村では先納金や御用金が求められる一方、村からも領主への諫言や賄役就任などにより、領主の財政再建に関わりました。

史料
差出申一札之事(江戸火事にて御屋敷様類焼のため小野路村御林材木にて御長屋切組の件につき)差出申一札之事(江戸火事にて御屋敷様類焼のため小野路村御林材木にて御長屋切組の件につき)江戸の火事によって、領主山口氏の屋敷等が類焼してしまい、領地である小野路村は長屋再建の用材を上納するように要求されます。小野路村では、その用材を遅れることなく江戸へ運ぶことを約束しています。市域の村むらは江戸に近いという地理的条件から、領主の消費生活を支えるため、さまざまな物資供給を求められ、それは大きな負担となりました。
乍恐以書付奉願上候(山口房之助知行所勝手向不如意につき金510両余出金仰付けのところ勘弁を願う旨)乍恐以書付奉願上候(山口房之助知行所勝手向不如意につき金510両余出金仰付けのところ勘弁を願う旨)野津田村をはじめ、関東地方にある山口氏の知行地では、これまでも再三先納金を要求され負担してきたました。領民たちは、これ以上の負担を避けるため、、山口氏の上司から財政の引き締めを意見してもらうように歎願しました。