地域のリーダーたちは、西洋の文物や政府の新たな制度を受け入れつつ、幕末以来の治安や秩序の乱れを、自らの素養である儒教や国学に照らして、立て直そうとします。彼らは、時代のはざまに生じた多様な地域的課題にとり組んだのです。
史料
誓約書(洋教拒絶) | 1873(明治6)年10月、日本人プロテスタントによる最初の伝導旅行の途上、府中分梅出身の小川義綏(よしやす)らは、府中で講義をおこないます。その衝撃は大きく、キリスト教排撃の誓約がなされました。この史料は訓導による誓約書で、これ以外にも区戸長の誓約書が残されています。 | |
大日本武蔵国南多摩郡地価大鑑 | 南多摩郡内における所有地価400円以上の戸主の氏名・地価を一覧にした長者番付表です。当時の県会議員の被選挙権が、所有地価400円以上の者に与えられていたことから、県議被選挙権者の一覧表にもなっています。 | |
責善会規則 | 責善会は、討論により会員同士の誤った行動を指摘し、議論することによって地域秩序の再建をめざした結社で、橋本政直・石阪昌孝・小島守政らが参加しました。儒教の影響を強く受けている一方、平等に発言機会が保障される討論会が開かれました。 |