地図を広げると、益田市の北東部に種地区はあります。ここにはかつて種小学校がありました。しかし、今はありません。小学校は無くなりましたが、その校舎は、地域の特産品がつくられる農産加工所に生まれ変わっているのです。
【学校を無くすことへの不安】
当時、種地区では人口が減ってきて、小学校の児童数もだんだんと少なくなってきました。そこで、益田市の教育委員会は「種小学校の無くして、他の小学校と一緒にしましょう」と地区に住む人たちに相談しました。
しかし、地区の人たちは、学校が無くなることについてとても不安に感じていました。どうしても、学校を残すことをあきらめきれなかったのです。そこで、何とかして、種の子どもたちを増やすために、子どものいる若い家族に引っ越ししてもらうように声をかけたり、家を建ててもらいやすいように土地を整備したりしました。
【小学校で特産品をつくろう】
その後、残念ながら種小学校は廃校になってしまいました。しかし、それでも地域の人たちはあきらめません。みんなの思い出がある学校を、地区のみんなのために活用できないかと考えたのです。
そこで、地域でとれるお米やタケノコ、山菜などを加工して、商品づくりを始めました。それが「種まなびや工房」です。
「種まなびや工房」では、地元の人たちが育てた農作物を使い、こんにゃくやお餅などがつくられて出荷されています。このように、種地区の人は今でも大切に小学校を使っているのです。
【人が引っ越してくる喜び】
地域の人たちのがんばりが実り、都会から種地区に引っ越す家族が見つかりました。引っ越してきた人たちも、種地区の豊かな自然や地区の人の温かい心を感じることができたのです。種地区の人も本当に喜んでいます。
種地区の人は、これからも多くの人に引っ越してきてもらおうとがんばり続けています。