益田市美都町東仙道地区に「四つ山」という山があります。四つ山は地区のシンボルと言える山で、その名前のとおり、高さや形が同じような山が東西に四つ並んでいます。
高さは標高二百メートルほどで、鎌倉時代には益田氏によってお城が築かれました。どの山も急な岩山で崩れやすいため、当時の戦いでは攻めにくいお城だったと言われています。
四つ山のそれぞれの頂上は「一の岳」「二の岳」「三の岳」「四の岳」と呼ばれており、一の岳までは登山道も整備されています。また、一の岳と二の岳の間には井戸が残っており、今でもこんこんと水が湧いています。一の岳からの眺めは素晴らしく、仙道郷の景色はもちろん、晴れた日には広島県の県境にある山々をも見ることができます。
四つ山
【四つ山城の歴史】
戦国時代には、毛利氏と尼子氏の対立を背景として、益田氏と隣国の三隅氏との間でこの城をめぐって戦いが起きました。その後、江戸時代には廃城となりました。今では井戸や堀切の跡などが当時の様子を思い浮かばせます。
美都町には、このほかにも多くの城あとが残っています。要害山城(山本城)、都茂城、板井川城、丸茂城などです。美都温泉の東部には宇津川城というのもあったようです。このように、美都町は多くの城が集まっているとても珍しい町なのです。
【お盆によみがえる四つ山城】
今ではお城のない四つ山ですが、お盆の時期は特別です。
夜になると、一の岳にお城が浮かび上がります。これは、「東仙道やるき会」のみなさんが、地域に活力を与えようという思いから、お城の形をしたイルミネーションを行うのです。真っ暗な山の頂上に浮かび上がる四つ山城の姿は、遠くからでもよく見えます。
毎年の恒例行事とはいえ、やる気会の人たちがボランティアで準備する四つ山城のイルミネーションは大変な作業です。しかし、地域の人たちはもちろん、お盆の時期に帰省した人たちにも大変喜ばれるので、準備する人たちも「また来年もやるぞ」と力がわいてきます。
みなさんもお盆の時期には、ぜひ四つ山城のイルミネーションを見に東仙道へ行ってみませんか。