益田市美都町二川地区に板井川という地区があります。その名の通り、板井川という川が流れている地区です。その板井川の上流に双川峡という渓谷があります。渓谷とは、山にはさまれた川がある場所のことをいいます。板井川を流れる川の水は、やがて三隅川へと流れていきます。
【養戸の滝と大イチョウ】
双川峡の見どころは、なんといっても高さ約二十メートルもある養戸の滝です。この滝は二段にわかれており、水しぶきをあげる様子は、とても豪快です。また、滝の近くには、高さ三十三メートルもある大イチョウがそびえたっており、紅葉の時期には、あたり一面を黄色く染めます。養戸の滝と大イチョウがつくる自然の景色や音は、訪れる人の心に大きな感動を与えます。
養戸の滝
【観音滝と呼ばれる理由】
養戸の滝は、別名「観音滝」とも呼ばれます。
その昔、美都町都茂にある清源寺というお寺のお坊さんが、この滝を訪れました。お坊さんは、滝の前に立つと、手を合わせ一心に祈りました。
「観音様、ぜひこの滝へ姿をあらわしてください。」
すると、滝のしぶきの間からきらきらと黄金色の光があふれ出したかと思うと、辺り一面が光に包まれ、水の音もしなくなりました。
この話を聞いた村の人たちは、「それはきっと観音様の化身に違いない。」と、ここに観音像を建てて祭りを行ったといわれています。
【貴重な自然環境】
双川峡には大きな岩や、形の奇妙な石がたくさんあります。また、ケヤキやカエデ、ヤブツバキなどの渓谷独特の常緑樹(※一年中緑の葉をつけ続ける木の種類)や珍しい植物もたくさん生育していることで知られています。双川峡にある滝や岩、それから植物などは、決して人間がつくりだしたものではなく、自然がつくりだした大切な風景です。地球からの贈り物ということができるでしょう。いつまでも、このすばらしい自然を守っていきたいものです。