May 31st, Tuesday
午後四時半、露国々境ウヰルバレンニ着ス。此ニ於テ旅券ノ検査ヲ受ク。此ニテルウブルヲマークニ交換ス。待ツコト一時間余ニシテ僅ニ数丁ヲ隔テタルアイトクウネンニ着ス。此ヨリ独逸領ナリ。
此ニ於テ荷物ノ検査ヲ受ク。但頗ル寛大ニテ殆ンド形式ニ過ギズ。クレメント氏ハ出札所ニ往キテ電報ノ受取ヲ示シ、寝台ノ事ヲ掛合シモ更ニ取合ハズトテ空ク帰リ来ル。且又余及ク氏ノ行李ヲベルリン迄預ケタルニ、十マルクヲ要求セラル。是ニハ少ク驚キタリ。
夜中ハ寝台ニ非ルガ為ニ安眠スルヲ得ズ。頗ル困難シタリ。
⇒ 収録されている日記
「〔井深梶之助日記〕明治四十三年」