4 壬生の河岸の働き

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壬生の河岸の働きは,大きく3つありました。
1宇都宮と鹿沼周辺の年貢米を江戸へ運ぶ。
黒川の流れを利用して,川舟で壬生と鹿沼の周辺の年貢米を江戸に運びました。
2米の御用と参勤交代の往復に河川を利用し,藩主と家臣の荷物を運ぶ。
3江戸から,塩や珍しい物を運んでくる。

 黒川の終点である壬生の河岸は,荒針(あらはり)村(現宇都宮市)や遠く離れた柏崎村(高根沢町)などの年貢米の輸送も一手に引き受けていました。
 さらに,壬生の河岸で陸上げされた塩や干鰯(ほしか)などの物資は,壬生から鹿沼,今市をぬけて福島県の会津南山地方にも運ばれたという記録も残っています。船頭さんの賃金は他の職業に比べてもかなり高かったようです。1年のうちでも雨が多く降り川の水量が豊かになる5月から11月には,さかんに舟をあやつって川を上下しました。壬生河岸から小山の南の乙女河岸までは,天気の良いときは川の流れに乗り,風の強い日には帆を張り風の力も利用して,約1日で下ってしまいました。
 しかし,逆にのぼってくるのは大変で,普通でも4日かかりました。(10日以上もかかってしまったときは運賃はただという約束もあったようです。)
 
○壬生河岸から積み出された主な品物
・特産物-米,麦,大豆,麻,干瓢(かんぴょう),酒,まき,炭,杉皮
・日向村(鹿沼市)の麻,加園村(鹿沼市)の石灰等

 
○江戸から壬生河岸に運ばれた主な品物
・塩,干鰯,しめ粕の肥料の分量が多い
・遠く上方(京都大阪地方)から糠が運ばれてきたこともある
「河岸仲間年行事日記」より