4 利鎌隊と蒼龍隊

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常世長胤

黒川豊麿

有栖川宮自筆の「御旗」

 
 戊辰戦争に関係した人々は,壬生藩の武士だけではありませんでした。壬生を中心とする地域の神職(神社に関係する人)や,有力な農民たちも,さまざまな団体をつくって旧幕府軍と戦い,新政府を応援しました。その代表が利鎌隊(とがまたい)です。
 利鎌隊は,雄琴神社の神職黒川豊麿(幼名は静馬(しずま))を隊長として1868(慶応4)年に結成されました。都賀郡各地の神職をまとめ,壬生地域に残っている旧幕府軍の勢力を追い払うことが目的で,そのため武器を手に入れるなどの努力をしました。しかし,戊辰戦争が終わったため,軍事的な目的だけでなく,学問の修練をめざした組織に変えていきましたが,1870(明治3)年には解散しました。
 他に浅間神社(せんげんじんじゃ)(山梨県)の神職を中心に組織された蒼龍隊がありました。これに,壬生藩士を父に持つ柿沼広身,壬生の豪商早瀬富高の娘婿となった常世長胤(とこよながたね),後に自由民権運動で活躍する鯉沼九八郎の叔父にあたる鯉沼貫一郎などが加わっていました。