現在明らかにできる壬生城と城下町の姿は、以上のようなものである。400年もの間の歴史を物語るには、史料的な制限があまりにも大きく、紙数を費した割には、不明な点が多く残ってしまった。
また、今回の解説であえて外した事柄もある。三浦氏の時代に行われたとされる、黒川の付替であるが、史料が全く見出せず、割愛している。この問題について明らかにすることができれば、壬生の歴史解明の大きな前進であり、ここで解説した事柄も変わってくる可能性は高い。
いずれにしても、未調査の史料の発掘につとめ、壬生城や城下町の姿を、より確かなものとしていきたい。
町の発展に伴い、町の姿は年々変わっている。復元図のベースとなった地形図は昭和62年の姿であり、この10年の間でも、住宅や道路の建設でかなり変化している。
いま壬生町では「くらしのみちづくり事業」を推進している。誇りある歴史を土台としたまちづくりのため、とくに旧城下町の部分は、「城下町」を中心とした整備を図る計画になっており、関係各位の協力を得て、復元図や解説で触れてきたような歴史的事実を踏まえた、特色ある町になることを期待したい。