Ⅲ壬生城 その構造を探る

22 ~ 25 / 55ページ
壬生城模型

 中世に築かれた壬生城は、江戸時代に入ると壬生藩の政治・経済の中核として引き続いて維持され、城の拡張や城下町の整備が行われました。松平輝貞の修築で完成した壬生城の規模は、『御殿并城内坪数間数』によると、総面積は約75,000坪余その内本丸が約1,688坪、二の丸が約5,946坪、三の丸が34,314坪となっている。城内には、天守閣や櫓はなく、8つの門を備えていた。8つの城門の規模はそれぞれであるが、追手門が6間×3間と一番大きく、南追手門は5間×2間半、搦手門は4間×2間の規模であった。
 
 
近世壬生城の構造を物語る際には必ず引用している文献が「押原推移録」と「壬生領史略」である。
 
 
23.押原推移録 鹿沼市立図書館蔵

 『元禄5年より松平右京亮領す。此時追手・三日月堀普請也』とあり追手門と三日月堀を造ったことが見られる。
 
 
24.壬生領史略 多賀谷キワ氏蔵

 『当城大手御門松平右京輝貞公城主たりし時、元禄年中東郭を築かれ大手御門を建てられしとなり』とあり東郭の築造と同時に建てられたものであるとしている。
 
 
 
◇壬生城の構造◇
25.壬生城絵図 精忠神社蔵 (絵図の記号は表の記号と対応)

〔1〕虎口(門)一覧
  野州壬生御宿城一件帳 乾野州壬生御宿城一件帳 坤寛文三年 日光御成控帳元禄五年 壬生城渡之覚精忠神社蔵 壬生城図壬生領史略(嘉永五年)
A本丸1本丸門御本丸御門本丸一本丸門本丸門御本丸御門
2本丸裏門御本丸裏門本丸裏門同所(本丸)裏門新虎口新虎口御門
B二之曲輪3二之丸表門二之丸御門二ノ曲輪表門二丸門二丸門二之丸御門
(二之丸)4新裏門新裏門二ノ曲輪裏門新虎口巽門巽御門
C三之曲輪
(三之丸)
5東中追手門東中追手御門中門中門中門中御門
6南追手門南追手御門南門南追手(門)南追手門南御門
7裏門裏御門三之曲輪裏門裏門搦手門搦手御門
D中門外曲輪8東追手門東追手御門東大手門東追手(門)追手門大手御門
(東郭)
下臺惣曲輪9 法清院前木戸法清院前木戸四谷出囗
正念寺曲輪



〔2〕各曲輪の坪数と間数
坪数間数備考
西
A本丸1,68877684459
B二之曲輪5,94610914496158
C三之曲輪34,314178274177222
D中門外曲輪98116126
E下臺惣曲輪120304144南門外曲輪
F正念寺曲輪6880152裏門より北之方
(『御殿并城内坪数間数』)



〔3〕二之曲輪 蔵・小屋一覧
蔵・小屋名梁間桁行備考
御米蔵2.513.0米千石入.
米蔵2.59.0
土蔵2.57.0二階有.
御簞笥蔵2.59.0
塩硝蔵2.03.0
小屋御馬方衆部屋2.06.0
粥焼小屋2.05.0
小屋2.06.0
御小人衆馳走所3.011.0
普請小屋2.525.0
木挽小屋2.516.0
八百屋小屋2.025.0
桶入小屋4.013.0
※単位:間(『御殿并城内坪数間数』)



〔4〕城内の建物
曲輪名建物の名称番所
A本丸御殿.小屋.厩.6
B二之曲輪家.蔵.小屋.厩.8
C三之曲輪茶屋屋敷.風呂屋.(侍屋敷)3
D中門外曲輪臺所.(侍屋敷)1
E下臺惣曲輪(町屋)1
F正念寺曲輪正念寺屋敷.
(『野州壬生宿城一件』『壬生城渡之覚』)