ヒョウタンの原産地は熱帯アジアや西アフリカと言われています。現在、アフリカに数種の野生状態のヒョウタンがあることから、アフリカが原産と考えられています。私達が知る園芸種の果実は中央がくびれた独特な形をしていますが、熱帯地方では球状のもの、楕円球のもの、フラスコ状、円筒状、棒状のものなど実にさまざまな形態のものがあります。
ヒョウタンの使い道としては、成熟すると種子の部分は綿状になり果皮から分離しやすくなり、果皮は乾燥すると硬化して堅い殼となるので日常使用する各種の容器、たとえば酒器、水筒、搾乳容器、ひしゃく、スプーン、洗濯盥、太鼓、ガラガラ、木琴をはじめとする各種楽器の共鳴体そして浣腸器、ペニスケースまであります。川田順造氏によればサバンナに於いて「この文化をヒョウタン文化とでも呼んでみたくなる」(『サバンナの博物誌』)という程に容器や楽器などとして多用されています。
なお、今回の展示では川田順造コレクション(西アフリカ.南米ブラジル域)を中心に日本の瓢簞製用具、また参考資料として「瓢花入 銘.顔回」(利休作)、「瓢簞酒器 銘・巨瓢」(伝豊臣秀吉所用)を紹介します。
千利休(1522~91)の花入れは、素材に最小限の手しか加えないことで、素材の趣きを生かしながら、そこに自分の美意識を確実に焼付けました。何気ない形の瓢(ふくべ)を使った「顔回」など、利久は作為の少ないシンプルな道具を生み出しました。