Ⅲ.世界の瓢

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 ヒョウタンの原産地は熱帯アジアや西アフリカと言われています。現在、アフリカに数種の野生状態のヒョウタンがあることから、アフリカが原産と考えられています。私達が知る園芸種の果実は中央がくびれた独特な形をしていますが、熱帯地方では球状のもの、楕円球のもの、フラスコ状、円筒状、棒状のものなど実にさまざまな形態のものがあります。
 ヒョウタンの使い道としては、成熟すると種子の部分は綿状になり果皮から分離しやすくなり、果皮は乾燥すると硬化して堅い殼となるので日常使用する各種の容器、たとえば酒器、水筒、搾乳容器、ひしゃく、スプーン、洗濯盥、太鼓、ガラガラ、木琴をはじめとする各種楽器の共鳴体そして浣腸器、ペニスケースまであります。川田順造氏によればサバンナに於いて「この文化をヒョウタン文化とでも呼んでみたくなる」(『サバンナの博物誌』)という程に容器や楽器などとして多用されています。
 なお、今回の展示では川田順造コレクション(西アフリカ.南米ブラジル域)を中心に日本の瓢簞製用具、また参考資料として「瓢花入 銘.顔回」(利休作)、「瓢簞酒器 銘・巨瓢」(伝豊臣秀吉所用)を紹介します。
 
市場のひょうたん売場(マリ)

 
13.鉢型瓢簞製容器
ブルキナファソ南部
(加工を加えてないもの)

 
14.鉢型瓢簞製容器
マリ中部
(赤児を洗う盥として使用)

 
15.鉢型瓢簞製容器
マリ中部

 
16.鉢型瓢簞製容器
ブルキナファソ南部
(薄手でモロコシビールのジョッキに使用)

 
17.鉢型瓢簞製容器
マリ中部

 
18.鉢型瓢簞製容器
ブラジル

 
19.鉢型飾り瓢簞
ブルキナファソ東部

 
20.鉢型瓢簞製容器
ブラジル

 
21.鉢型瓢簞製容器
ブラジル

 
22.杓子
マリ中部

 
23.杓子
マリ中部

 
24.杓子
ブルキナファソ

 
25.杓子
ブラジル

 
26.浣腸器
コートジボワール

 
27.瓢簞製容器
(酒入れに使用)
ブルキナファソ西部

 
28.瓢簞製容器
マリ中部

 
市場のひょうたん売場、修理もする(マリ)

 
29.瓢簞製容器
(バターを作る容器)
マリ中部

 
30.瓢簞製容器
マリ中部

 
31.瓢簞製容器
ブルキナファソ北部

 
32.矢筒
ブルキナファソ西部

 
33.瓢簞製容器
マリ中部

 
34.瓢簞製容器
マリ中部

 
35.瓢簞製種入れ容器
マリ中部
(口の紐を手首に掛けて使う)

 
36.太鼓
ブルキナファソ

 
37.太鼓
ブルキナファソ中部

 
特大球形ひょうたんに山羊の皮を張った太鼓(ブルキナファソ)

 
38.ガラガラ
マリ西部
(成人式儀礼に使用)

 
39.ガラガラ
マリ西部
(成人式儀礼に使用)

 
40.ガラガラ
ナイジェリア中部

 
41.ガラガラ
ブラジル

 
42.ガラガラ
ブルキナファソ南部

 
43.木琴
マリ中部

 
44.木琴
マリ中部

 
ひょうたんを共鳴器にした木琴 (ブルキナファソ)

 
45.ハープリュート
マリ

 
46.ハープリュート
マリ中部

47.指ピアノ
マリ中部

 
48.スタンピングチューブ
(音具の一種)
マリ

 
49.瓢簞製鼻笛
ブラジル

 
50.夕顔製種入れ 会津民俗館蔵

 
51.瓢簞製火薬入れ 栃木県立博物館蔵

 
52.夕顔製炭入れ 栃木県立博物館蔵

 
53.夕顔製炭入れ 石橋町郷土資料館蔵

 
参考資料
瓢花入
 銘・顔回(利休作)
桃山時代 永青文庫蔵
高 19.3

 
 千利休(1522~91)の花入れは、素材に最小限の手しか加えないことで、素材の趣きを生かしながら、そこに自分の美意識を確実に焼付けました。何気ない形の瓢(ふくべ)を使った「顔回」など、利久は作為の少ないシンプルな道具を生み出しました。