『港区教育史』の刊行に寄せて

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港区長 武井 雅昭


 港区の150年を超える近代教育のあゆみを綴る新たな『港区教育史』の刊行に当たり、心からお祝い申し上げます。
 昭和22年3月15日に芝、麻布、赤坂の3区が統合され、港区が誕生してから、70年を超える月日が流れました。区政50周年に当たる平成9年に『港区教育史資料編』を刊行してから20年以上が経ち、教育行政のあり方も時代とともに変化してまいりました。
 港区は、江戸時代から私塾や寺子屋が多く存在する学問の盛んな地域であり、幕末から明治にかけては西洋文化の移入により、新しい学問の発祥の地でもありました。
 学制公布よりも早い明治3年、港区では、日本最初の近代的な小学校の一つである「仮小学第一校(後の鞆絵(ともえ)小学校)」が誕生しました。現在ある区立小学校18校のうち半数が創立100周年を超えていることからも、今日まで長きにわたり、まちの発展とともに築き上げてこられた教育行政の歴史の重みが感じられます。令和2年4月、鞆絵小学校の跡地は「港区立みなと科学館」および「港区立教育センター」として生まれ変わり、伝統ある教育の拠点として大事に継承されるとともに、最先端技術を備えた体験型の施設として、新たな教育の歴史を築いています。
 港区は今、「誰もが住みやすく、地域に愛着と誇りを持てるまち・港区」をめざし、「子どもの個性、地域の特性を生かす学校教育の実施」「誰もがスポーツを楽しむことができる機会の確保と環境の整備」「区民の多様な学習活動と誇りと愛着ある郷土意識の醸成の支援」を柱とした教育施策を進めています。すべての人々に公平で質の高い教育を提供するため、小・中学生に1人1台のタブレット端末を配備するなどICTを活用した学習の推進をはじめ、これまで以上に区民一人ひとりを大切にし、多様な世代・ライフスタイルに対応する新たな教育のあり方に取り組んでいます。
 社会状況が急速に変化し、教育を取り巻く環境もめまぐるしく変わる時代において、港区のこれまでの教育のあゆみを振り返り、積み重ねてきた教育行政の歴史を後世に正しく受け継ぐとともに、これからの教育のあり方を広い視野で展望するためにも、教育史の刊行は重要な役目を果たすものとなります。
 港区教育史編さんにご尽力された関係者の皆さまに心から感謝を申し上げるとともに、港区教育史を通じて、広く区民の皆さんに港区の教育に誇りと愛着を持っていただけること、そして今後の港区の教育のさらなる発展のためにご活用いただけることを期待しております。

令和4年3月