鉄道発祥の地[図19]

47 ~ 48 / 243ページ
 日本の最初の鉄道は、明治5年(1872)5月、品川・横浜間でまず開通した。また、新橋・品川間の完成を待ち、同年9月12日、新橋駅に天皇を迎え、開業式が挙行された。港区内を通る鉄道は、海岸からはなれた海中の堤防の上を走っている様子が当時の浮世絵からもよくわかる。これは陸上を通ることに、東京湾岸に施設をもつ海軍が機密保持の立場から反対したためである。
市内鉄道の設置も港区内からはじまる。すなわち、馬の放尿と糞でひんしゅくをかっていた鉄道馬車に代わり、明治34年7月25日新橋・品川間の複線架設式電車が登場した。これが市内電車のはじめで、最初東京電車鉄道株式会社が経営していたが、路線が延長されるにつれ、他の東京市街鉄道株式会社や電気鉄道株式会社との争いや、共通運賃制を望む市民運動により、明治44年8月東京市電気局が創設され、市営電車(市電)となった。
 

[図19] 東京高輪海岸蒸気車鉄道之全図(港区立三田図書館編『描かれた港区』)

 当時の営業距離数は192キロメートル、電気局員約6000名、1日の平均乗客数51万人といわれ、新橋駅を中心に、港区内の主要幹線道路のほとんどは明治末期に敷設が終わっている。
 現在の国鉄山手線の前身となる高架鉄道も、明治42年12月品川・上野・池袋・赤羽間が開通している。このように、各種鉄道路線は港区の品川駅、新橋駅(位置は現在の汐留駅)から始まった。