このことは中心区に共通したことで、千代田、中央、文京、台東、新宿など山手環状線の中にある各区と台東区、江東区など旧15区の特徴である。また、それに応えるように、市電路線は幹線道路をあますところなく網状に覆い、停留所も数多く設置されていた。
大震災後、道路の舗装化がすすむころ、乗合自動車が走りはじめたが、タクシーとの競争に勝てず、路線バスの普及は停滞した。このほか、昭和13年(1938)11月に虎ノ門・青山一丁目に地下鉄が開通した。これは、東京における最初の地下鉄で、やがて延長され渋谷・浅草間を結び、戦前における唯一のものとなった。
[図20] 昭和35年当時の都電(『港区史』下巻より作成)