科学技術の発展など社会の急速かつ持続的な変化に適応する必要性があるとして、「生涯」にわたる教育の必要性がユネスコなどを中心にして唱えられるようになるのは、昭和40年代以降のことであった。当初、教育を提供する側に焦点を当て「生涯教育」という名称を用いていたが、次第に、学習者に焦点を当て「生涯学習」という名称を使用するようになるのが昭和50年代後半頃からのことである。
すなわち昭和56年(1981)の中央教育審議会答申「生涯教育について」において、変化の激しい社会が訪れる中で、「人々は、自己の充実・啓発や生活の向上のため、適切かつ豊かな学習の機会を求めている。これらの学習は、各人が自発的意志に基づいて行うことを基本とするものであり、必要に応じ、自己に適した手段・方法は、これを自ら選んで、生涯を通じて行うものである。その意味では、これを生涯学習と呼ぶのがふさわしい」と、生涯学習の必要性を提起している。
さらに平成2年(1990)施行の「生涯学習の振興のための施策の推進体制等の整備に関する法律」では、都道府県教育委員会が生涯学習振興基本構想を作成・実施すること、都道府県の教育委員および知事の諮問機関である生涯学習審議会を設置することについて定めた。そして、平成3年の中央教育審議会の答申「新しい時代に対応する教育の諸制度の改革について」では、「生涯学習社会」の構築が教育行政の新たな目標として明示されることになった。