代用私立小学校の継続

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 当初、代用期間は、明治30年3月末日までであったが、各区会は、東京市の内訓に基づいて、代用を更に継続すべきことを決議した。
 芝区では、共栄小学校外18校が継続許可を受けた。
 麻布区では、培根、辻、宮下小学校を除く6校の契約を更に4カ年延長している。継続期間は1カ年とされていたが麻布区は最初から4カ年の期限としたことで、後に市より注意を受けることとなった。
 更に明治32年12月に宮下小学校とも代用の契約を結んだ。
 赤坂区では、30年以降は契約を1カ年とし、必要に応じて毎年その設立者と協議の上、府知事の認可を受け、契約を継続することとした。明治30年9月、義立協愛小学校は、青山小学校の分校となった。
 契約延長に際し、代用私立小学校の調査が行われた[図12] [注釈10][注釈11]。
 

[図12]代用小学校に関する調査標準・明治30年(東京都公文書館所蔵)

 
      芝 区 (※□は教員氏名のため、□で伏す)
  共栄小学校   □□□□ノ在否ヲ確ムルヲ要ス
          尋常科ハ三学級ニ編制スルヲ要ス
  黒沢小学校   尋常科 二学級ニ編制スルヲ要ス
  鳥羽小学校   尋常科 三学級ニ編制スルヲ要ス
  小野小学校   □□□□ノ在否ヲ確ムルヲ要ス
  北川小学校   □□□□□ノ在否ヲ確ムルヲ要ス
          三学級ニ編制シ教員一人任用スルヲ要ス
  荒川小学校   二学級ニ編制スルヲ要ス
  飯田小学校   尋常科ハ三学級ニ編制シ教員一人任用スルヲ要ス
  貞操小学校   教授管理不十分
  里見小学校   右同断
  宮崎小学校   右同断
  和田小学校   右同断
      麻 布 区
  谷 小学校   尋常科ハ二学級ニ編制スルヲ要ス
  三台小学校   二学級ニ編制スルヲ要ス
          教授管理不十分
  庭訓小学校   教授管理不十分
      赤 坂 区
  育英小学校   二学級ニ編制スルヲ要ス
  關 小学校   右同断
  丹後町小学校  教授管理不十分
  溜池小学校   尋常科ハ四学級ニ編制シ教員二人増スヲ要ス
  氷川小学校   尋常科ハ三学級ニ編制シ教員一人増スヲ要ス
  明治卅年四月廿九日附上申其区私立共栄小学校外十八校ヲ市立尋常小学校ノ代用トナスノ件認可ス
     年 月 日                       知事
    理由 別紙上申之趣一ヶ年間代用継続之義ニモ有之支障無之認メ候
  第五四一号
  当区会之議決ヲ経タル私立共栄小学校外拾八校代用継続之件ニ関シ左之条件ニ対シ設立者ト協議ヲ遂ケ候処異議無之候条至急御認可相成度此段稟申候也
    明治三十年四月廿九日
  東京市芝区長 川崎 実 印
  東京府知事  久我 通久殿
      協議ノ件
  一 代用期限ハ明治三十年四月ヨリ来ル三十一年三月迄満壱ケ年トス
  二 代用私立小学校ニ入学ヲ許スヘキ児童ノ住スル区域ハ芝区内トス但定員ニ満タサルトキハ区域外ノ者ト雖モ入学ヲ許スハ妨ケナシ
  三 代用私立小学校ニ対スル補助金ハ当分之レヲ給セス
  四 代用私立小学校ニ於テ入学ヲ許スヘキ児童ノ定員ハ左ノ如シ ([図13]参照)
  ※表中にはないが、このほか、芝二本榎1丁目34番地の南風小学校、烏森町2番地の成立小学校も代用指定を受けたという文書がある。
 

[図13]代用小学校の入学定員

関連資料:【文書】小学校教育 私立学校代用継続
関連資料:【学校教育関連施設】