義務教育徹底策の推進

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 明治33年の「小学校令」改正では、
 
  尋常小学校ノ修業年限ハ四箇年トシ、高等小学校ノ修業年限ハ二箇年、三箇年又ハ四箇年トス(第18条)
 
と、従来の3カ年~4カ年という義務教育年限を4年に確定した。
 就学の猶予、免除に関しては
 
  瘋癩(フウテン)、白痴(ハクチ)又ハ不具廃疾ノ為(タメ)就学スルコト能ハスト認メタルトキ
  病弱又ハ発育不完全ノ為就学セシムヘキ時期ニ於テ就学スルコト能ハスト認メタルトキ
 市町村長ニ於テ学齢児童保護者貧窮ノ為其ノ児童ヲ就学セシムルコト能(アタ)ハスト認メタルトキ(以上同第33条)
 
監督庁の認可を受けてできるとされ、生活の苦しい家庭の場合も特別の配慮が継続されているが、一方、就学を鈍らせる一因となっていた授業料については、
 
  市町村立尋常小学校ニ於テハ授業料ヲ徴集スルコトヲ得ズ但シ補習科ハ此ノ限リニ在ラス、
  特別ノ事情アルトキハ府県知事ノ認可ヲ受ケ市町村立尋常小学校ニ於テ授業料ヲ徴集スルコトヲ得(第57条)
 
として、原則として義務化された尋常小学校では、授業料は無料とされた。これが就学率を高める要因となり、人口の増加もあって就学児童は急増した。
 市町村の学校設置義務を強化し、代用私立小学校の継続の協力を得ながら、尋常小学校の設置を急いだのである。
 この後、明治30年代には、明治34年愛宕尋常小学校の創立、35年4月に三河台尋常小学校、35年11月には本村尋常小学校開校、39年6月には御田尋常高等小学校の増築、39年8月に青南尋常小学校開校、40年1月には筓(こうがい)尋常高等小学校開校、40年11月には白金尋常高等小学校の改築などが行われ、新設・増改築などによって、義務教育の徹底と授業料の抑制を図り、人口増加などによる就学児の増加に対応する、地域の努力が続けられたのである。
 
関連資料:【文書】教育行政 小学校授業料
関連資料:【学校教育関連施設】