実業学校の整備

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 井上文相登場以後の産業教育の諸学校に関する規程の概要は次のようである。
 
  実業補習学校規程  明治二六年一一月
  第一条 実業補習学校ハ諸般ノ実業ニ従事シ又ハ従事セントスル児童ニ小学校教育ノ補習ト同時ニ簡易ナル方法ヲ以テ其ノ職業ニ要スル知識技能ヲ授クル所トス
  第二条 実業補習学校入学者学力ノ程度ハ尋常小学校卒業以上ニ於テ之ヲ定ムヘシ但尋常小学校卒業ノ者ニアラサルモ学齢ヲ過キタル者ニ限リ実業補習学校ノ教科ノ全部又ハ一部ノ教授ヲ受クル為ニ特ニ学校長ノ許可ヲ得テ入学スルコトヲ得 実業補習学校ニ於テハ男女ヲ混同スルコトヲ得ス
  第三条 実業補習学校ハ尋常小学校又ハ高等小学校ニ附設スルコトヲ得此ノ場合ニ於テ其ノ小学校ノ教授ヲ妨ケサル限ハ校舎及備品器具ヲ使用セシムルコトヲ得 (中略)
  第八条 実業補習学校ノ修業年限ハ三箇年以内トス
  第九条 実業補習学校ハ日曜日又ハ夜間タリトモ便宜教授時間ヲ設クルコトヲ得(以下第14条まで略)
 
  簡易農学校規程  明治二七年七月
  徒弟学校規程   明治二七年七月
 
  実業学校令    明治三二年二月
  第一条 実業学校ハ工業農業商業等ノ実業ニ従事スル者ニ須要ナル教育ヲ為スヲ以テ目的トス
  第二条 実業学校ノ種類ハ工業学校農業学校商業学校商船学校及実業補習学校トス 蚕業学校山林学校獣医学校及水産学校等ハ農業学校ト看做ス 徒弟学校ハ工業学校ノ種類トス (以下第17条まで略)
  第一八条 他ノ法令中ニ技芸学校トアルハ本令施行ノ日ヨリ当然実業学校ト看做ス (第19条 略)
 
  工業学校規程   明治三二年二月
  農業学校規程   明治三二年二月
  商業学校規程   明治三二年二月
  商船学校規程   明治三二年二月
  水産学校規程   明治三四年一二月
 
 このように、実業教育関係の学校の規程が整備される中で、東京府には、次のような、産業関係の学校が開設されていった[注釈1]。
 
  明治28年 府立織染学校(八王子織染学校)  八王子
  明治32年 東京府職工学校          本所区
  明治33年 豊多摩郡立農業補習学校      中野町
  明治35年 府立職工学校附属工業補習学校   本所区
  明治39年 市立東京工業補習夜学校      芝 区
  明治41年 府立園芸学校           駒沢村
  明治43年 府立工芸学校附属補習学校     ―
  明治43年 北多摩郡立農蚕学校        ―
  明治43年 府立織染学校附属工業補習夜学校  八王子
  明治44年 市立第一技芸学校         下谷区
  明治45年 豊多摩郡立農業学校附設実業女学校 中野町
 
関連資料:【文書】中学校教育 市立東京工業補習夜学校