港区地域と産業

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 第1次世界大戦による産業界への影響は大きく、日本の産業は飛躍的な発展を遂げた。とくに海運業・造船業の好況、鉄鋼業・紡績業の発達、電灯・電力の拡大、電気機械の生産の急増、肥料・薬品・染料などの化学工業も勃興(ぼっこう)し著しく発展した。更に、この発展に伴い都市への人口集中が目立ち、必然的に商業・サービス業もめざましく伸展した。
 こうした傾向は、すでに述べたように港区地域の商工業の発展にもあらわれていた。芝浦・田町・浜松町にかけて多数の従業員をもつ工場が多く存在したことは工場数と従業員数を示した[図2]からも知ることができる。
 芝区・麻布区・赤坂区の各区内には大中企業の工場のほか、従業員10人程度の小規模の工業も盛んであった。例えば愛宕下から田町にかけてと、赤坂区溜池地区などの洋家具製造と販売や、麻布区谷町付近の金属・木工や古川流域の家内工業などがその一例である。
 

[図2]芝区内工業の発展状況(『芝区誌』)