臨時教育会議

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 第1次世界大戦の最中である大正6年(1917)9月総理大臣の諮問機関として臨時教育会議が設立された。
 この会議は大正6年10月から大正8年3月にいたる間に合計30回の総会、83回の委員会を開催し審議を行い、9項目の諮問について改善策を答申した。
 その中で、小学校教育の改善については、次の3点がそのあらましである。
 (1)教育財政に関する答申には「市町村立小学校教員俸給ハ国庫及市町村ノ連帯支弁トシ国庫支出金額ハ右教員俸給ノ半額ニ達セシメンコトヲ期スベシ」とあり、教員俸給を補助し教育財政の基礎を確立しようとした。これにより、教師の社会的権威を高め、さらに教師に対する国家統制を強めようとしたねらいもあったのである。
 (2)小学校教育の根本方針 ①小学校では国民道徳の徹底を期すること、②児童身体の健全な発達を図るため適切な方法を講ずること、③知識・技能の教授で児童の理解と応用を主とし、不必要な記憶によって心力を徒費する弊風を一掃すること、④施設及び教育の方法は画一の弊風を脱して地方の実情に適切ならしむることなどを示し、特に社会思想の勃興に対して国民道徳の徹底を図ることを改善の重点としている。
 (3)小学校における上級学校入学準備教育に伴う弊害の改善。中等学校進学希望者の増加による深刻な入学難が生じ、過度な入試準備教育が行われている実情の改善をせまった答申であった。