その規定の中で学芸会、展覧会のねらいの中心は、一人一人の児童の創造性を伸ばすことであり、それを児童の共励という趣旨にしぼっている。また、出演したり出品する児童が優秀児童に偏らないよう、できるだけ多くの児童に、その機会を与えるよう求めていることなども伺える。
学芸会のプログラム[図16]とその状況が青南小学校の『青南学報』第2号(大正10年)に示されている。
青南小学校の学芸会
二月十一日紀元節の佳辰を択んで式後直ちに本校屋内体操場で本年度の学芸会を開きました。会場の関係で午前には奇数学級出演し、一年生八名の唱歌を筆頭に二年生の誠に子供らしいお玉杓子、軽快で転げる玉の様な音声の唱歌「汽車の旅」がありました。三年生の林檎の写生は唯見るさえも美味で傍の風景画は五女の書方と共に運筆の巧みさを示し、酸素実験の理科は噴水実験と共に一堂の人気を全身に担ひました。其の間地理も歴史もありました。(後略)『青南学報』第2号(大正10年)
学芸会プログラムを見ると、当時の内容は体操を除く各教科にまたがっている。即ち唱歌、書き方、図画、国史、地理、理科実験、話し方、朗読、対話などかなり広範囲にわたり、学習発表会の色彩が濃い。当時は、小原国芳により学校劇が提唱された時期であったが、地域内公立小学校は、その実践にまでは至っていなかったようである。
[図16]青南小学校学芸会次第
関連資料:【文書】小学校教育 中之町小学校唱歌指導