校則

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 大正期の地域内各小学校では、学校運営のための校内諸規定を定めていた。児童関係規定[注釈15]の例として、桜田小学校の「児童管理細則」をみると、そこには、学校生活のすべてについて、細かな規定を設けていた。その分野は、次の11項目にわたっている。また項目別にそれぞれに詳細な規定が記されている[注釈16]。
 

[図17]夏休み帳・白金小学校児童作品(近山金次氏提供)

 1 登校下校に関する規定   2 教室の出入に関する規定  3 教室に於ける動作
 4 階段・廊下に於ける動作  5 運動場に於ける動作    6 午餐
 7 児童当番に関する規定   8 通学途上の心得      9 組長副組長に関する規定
 10 指名法規定       11 児童学校用具記名形式
 
 学校教育の教授・訓育・養護の指導の充実とともに、児童の学校生活上の基本的なルールと心得が整備されていた。
 桜田小学校の「児童管理細則」の中から、「教室ニ於ケル動作」をとりあげ、その一部を記すと次のようになる[注釈17]。
 
    児童管理細則
    教室ニ於ケル動作
  第一条 教室ニ於ケル児童ノ姿勢ハ左ノ要領ニヨラシム。
   一 腰掛姿勢
    1 胸ヲ張リ頭ヲ起シアゴヲ引キ下腹ニ力ヲ入レテ上体ヲ真直ニシ口ヲ閉ジ腰ヲ深クカケ足ヲ床上に揃へ両手ヲ膝ノ上ニオキ又ハ軽ク組ミ眼ハ前方ヲ正視スベシ。
    2 コノ姿勢ニ在リテ書物ヲ見ルニハ両手ニ書物ノ左右下端ヲ持チ机面上四五度ノ角度トシ紙面ト眼トノ距離ハ凡一尺二寸タラシム。
    3 書写ノ場合ニ在リテハ胸部ヲ屈スルコトナクシテ上体ヲ前ニ傾ケ紙面ト眼トノ距離ヲ適度ニ保タシムベシ。
   二 児童ノ応答
    1 教師ノ指名ニ対シ特別ノ場合ヲ除キテハ児童ハ応答ヲ要セズ応答ハ「ハイ」ヲ可トシ、教師ノ問ヒニ対スル肯定ハ「ハイ」、否定ハ「イーエ」ヲ可トス。
    2 児童相互間ニ於テハ敬語ヲ用フベシ。
     男児ハ誰サン又は誰君、女児ハ誰サント姓ヲ呼ブヲ本体トシ特別ノ場合及ビ一年生ニ限リ名ヲ呼ブモ妨ゲズ。
 (以下省略)
 
 「児童管理細則」の「教室ニ於ケル動作」だけの規定でも12カ条にわたり、挙手のしかた、授業中の応答のしかた、物品の借り貸し、参観者に対する応答など細かに規定されている。
 
関連資料:【文書】小学校教育 桜田小学校の児童管理
関連資料:【文書】小学校教育 鞆絵小学校児童心得