市立夜学校[図29]

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 国民教育の普及徹底を図るため、経済的理由その他により昼間就学できない子供たちのために特設された学校である[注釈27]。「小学校令」第17条による「尋常小学校に準ずる各種学校」として取扱われた。教科内容も尋常小学校に準じ、卒業者には義務教育終了の認定をした。
 

[図29]東京市立夜学校概況(芝・麻布・赤坂)・大正6年1月現在(東京市役所教育課)

 市立夜学校新設申請者と市立夜学校は、小学校に準じた学校として位置づけられていることは、次の学則に示されている。
 
     市立夜学校新設申請
   (前文略)
     市立夜学校学則
  一 本校ハ未ダ尋常小学校ノ教科ヲ卒ヘスシテ昼間修業スルコト能ハザル児童ニ普通教科書ヲ速成的ニ授クルヲ以テ目的トス
  二 修業期間ヲ二箇年トシ一箇年ヲ前期後期ノ二期ニ分ツ
  三 本校ノ教科目ハ修身、国語、算術トシ科外トシテ手工及裁縫ヲ課スルコトアルヘシ
  四 各教科目ノ程度ハ尋常小学校ノ教科課程ニ準シ毎週教授時数ハ凡ソ左ノ如シ([図30]参照)
  五 授業時間ハ毎夜凡ソ二時間トス
  六 休業日ハ小学校ノ例ニ準ス
  七 教科書ハ尋常小学校用ノモノニ依ル
  八 本校ニ入学シ得ヘキモノハ年齢凡ソ十歳以上十四歳以下ニシテ左ノ各号ノ一ニ該当スルモノトス
   一 保護者貧窮ノタメ就学ヲ猶予セラレ若クハ免除セラレタル者
   二 被雇傭者
  九 上級ノ課程ヲ終リタル者ニハ卒業証書ヲ授与ス
  十 卒業生ハ学校長ノ許可ヲ得テ上級ノ時間ニ出席シ復習スルコトヲ得
  十一 授業料ハ之ヲ徴収セズ
  十二 学校用品ハ之ヲ貸与ス
  十三 入学ハ各学期ノ始メニ於テ之ヲ許ス但シ臨時之ヲ許可スルコトアルヘシ
  十四 入学セントスルモノハ保護者又ハ雇傭主ヨリ区役所ヲ経テ学校長ニ出願スヘシ
  十五 退学セントスルモノハ其理由ヲ具シ書面ヲ以テ保護者若シクハ雇傭主ヨリ願出ズヘシ
  十六 学校長ハ性行不良若シクハ卒業ノ見込ミナシト認メタルモノニハ退学ヲ命スルコトヲ得
 

[図30]市立夜学校の毎週教授時数

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