教員の生活

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 第1次世界大戦後、一時我が国は好景気が続いたといわれるが、その後物価は暴騰し中流階級以下、ことに俸給生活者の生活を困難におとしいれた。もっとも実業会社などの俸給生活者は会社の利益によってそれぞれ優遇されたが、最も窮迫したのは官公吏であり教員であった。
 当時東京市においては、1家5人の最低生活費は1年2千円を要するとき、官公吏の95・9パーセントを占める判任官以下の者の年平均は581円以下という惨めな状態にあった。
 このような経済的圧迫は、教師をして急速に教職に対する自尊心を失わせ、世間の人も教師を尊敬しなくなったと言われる。そして次第にサラリーマン化する教師を生み、教師の社会的地位の低下を招いた(唐沢富太郎著『教師の歴史』)。