港区地域の各学校では、研修活動が行われたことが各校の沿革誌や学報などに記載されていることからうかがい知ることができる。例えば、芝区台町小学校の沿革誌の中からその一部を記載する。
台町小学校の研修のあゆみの中から
大正元年 訓導 師範学校講習会出席
二年 本市教員講習所研究会出席(植物科・図工科)
三年 顕微鏡使用法及蛤(はまぐり)解剖講習会
三年 訓導 本市教員講習所講習会出席(鉱物科)
四年 白金小学校にて、本市教育研究所体操巡回講習
四年 本区講習会に全員出席「御大礼について」
五年 理科講習会実地教授 講師 青山師範教諭
六年 職員一同 芝小学校にて図画講習会に出席
六年 三訓導 西桜小学校体操講習会に出席
七年 校長 本市奨学講習会(帝大)出席
七年 三訓導 健動的遊戯講習会に出席
八年 本区主催 歴史講習会出席(愛宕小にて)
八年 〃 体操講習会出席(御田小にて)
八年 〃 理科講習会出席(愛宕小にて)
八年 〃 家庭看護法講習会出席(愛宕小にて)
八年 訓導 本市奨学講習会理科出席
大正期においては、かなりの講習会が開催され研修にはげんだことを物語っている。また、筓(こうがい)小学校の沿革誌には、頻繁に研究授業が行われていたことが記録され、学校ごとの研究会も盛んだったと言えよう。
更に、白金小学校の校報誌『シロカネ』第3号(大正9年)には、学年会における教材研究についての文章が掲載されている[注釈8]。その要旨は次のとおりである。
各学年の教授研究については、教授方法の研究会を毎日行い、全職員が研究授業を担当し、研究授業が別に珍しいとも思わぬ慣習ができた。
そこで、本年度(大正9年度)より学年会における教材研究が最も急務であることを認め、各学年担任が各教科を分担して教材研究を行うようにした。学年会で、研究の成果を報告した。年間39回にも及んだという。教材研究の成果は、児童の実力向上をもたらした。
学年会には、校長も必ず出席し熱心に傾聴したにとどまらず研究の便利をはかってくれたことが、より一層教材研究の充実につながった。(以下略)
前述の講習会による研修をもとに、教授法研究、教科書を中心とした教材研究など、研修の内容と研修意識の高まりをみせていたのが、港区地域の教職員の姿であったといえよう[注釈9]。
関連資料:【文書】小学校教育 白金小学校校外に於ける教材調査
関連資料:【文書】教職員 白金小学校の校内における教材調査