教員の研修をはじめ地域教育の向上発展に教育会の果たした役割はきわめて大きい。特に東京市教育会[注釈10]と区教育会が大きなはたらきをしている。
港区地域の教育会には芝区教育会(明治14年創立)、麻布区教育会(明治29年創立)と赤坂区教育会(大正5年創立)がある[注釈11]。各区教育会ともそれぞれ地域の教育の向上発展を図ることを目的に事業を行ってきている。その事業内容の主なものは教員を対象としたものでは講習会、講演会の開催、教育功績者の表彰、各種教育大会への教員の派遣などであり、児童対象の事業では教育会の最も重要な事業とされた夏季臨海林間学園の開設であった。芝区教育会では大正10年(1921)8月千葉県富津町で臨海学園を開設し好成績を納めたので、翌年から毎年実施した[注釈12]。またこれと同様に麻布区教育会では大正12年夏から神奈川県金沢海浜で臨海学園を開設した[注釈13]。
大正になって創立した赤坂区教育会も、初代会長農学博士横井時敬を中心に他の二区教育会と同様に、教育に関する研究、調査をはじめ教職員対象の講習会、講演会の開催、教育功績者の表彰、体育、科学教育などの振興、児童対象の夏季施設の開設などを行った。
前述のように、教育会の事業は多岐にわたっている。特に教育に関わる内容や、児童に対する臨海・林間施設の開設など、教育会の活動の恩恵に浴することが大であった。大正期の国の教育政策推進を担う教育会はきわめて重要な存在であった。
関連資料:【文書】教育行政 麻布区教育会
関連資料:【文書】教育行政 芝区教育会
関連資料:【文書】教育行政 赤坂区教育会