教員の東京府管外学事視察は、学校長に限られた傾向があった。しかし、大正9年度(1920年度)になって、首席訓導(くんどう)にも学事視察が行われるようになった。白金小学校の校報誌によると、白金小学校の草野訓導が芝区内の首席訓導中より選抜され、大正10年3月2日から5日までの4日間、水戸・宇都宮・浦和などの学事視察を命ぜられ、それぞれの著名な小学校を視察した。視察後当局者に復命するとともに、3月23日には、約2時間をかけて、白金尋常(じんじょう)小学校職員に詳細な学事報告をしたという。
教員研修の一つとして、管外学事視察が校長に限らず訓導にまで範囲が広げられたことは、画期的な教育施策の一つであったと言えよう。