■東京市立氷川図書館(氷川町4番地)

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 明治45年5月、市立赤坂簡易図書館として氷川小学校内に設立し、同年7月開館した。大正2年(1913)4月、市はこれまでの市立簡易図書館を市立自由図書館と改称したが、同時にこれを市立氷川図書館と改称し再発足した[図7]。
 開館当時の蔵書数は僅(わず)かに800冊余り、閲覧人数は1日平均50人から60人に過ぎなかった。しかしその後数年たって大正5年には、蔵書数5000冊程度に達し、閲覧者も著しく増加している[注釈11]。
 [図8][図9]は本地域の市立図書館の蔵書数と図書館の利用状況を示すものである。蔵書数については年を追って増加しており、更に昭和元年(1926)には三田で8174冊、麻布で9241冊、氷川では9817冊になっている。閲覧人数については大正14年(1925)のそれは館内閲覧人数を示すものと考えられるので、大正10年と比較すると明らかに大きな増加となっている。
 この地域には市立図書館のほか私立図書館もあり、地域住民の知徳修養に対し大いに寄与した。大正期この地域に所在した私立図書館は慶応義塾図書館、青山会館図書館、皇民会記念文庫などである。

[図7]氷川図書館(『赤坂区史』)

 

[図8]本区域市設図書館の蔵書数と利用状況・大正10年(『東京市政概要』大正11年版)

 

[図9]蔵書数と利用状況・大正14年(『東京市政概要』大正15年度版)