『東京百年史』第4巻によると、大正10年1月31日付『時事新報』の1面に同図書館について次の記事が掲載されている。
「八月頃竣工する工業図書館―藤山雷太氏が日吉坂上に開館するのは明年か―談話室球撞き場もあり、社交機関とする」
芝日吉坂上に工事中の厖(ぼう)大な建築は吾人の眼をひいているが右は東京商業会議所会頭藤山雷太氏が新計画に成る工業図書館である。戦後特に工業知識の普及化を痛切に感じていた氏はこの種専門の公開的図書館の無いのを遺憾とし、いよいよ立案して工事を起こしたのは一昨年の八月であった。
後にこの図書館は藤山工業図書館と呼ばれるようになった。個人が図書館を開設するという珍しいことであった。