教育方法では、錬成主義が強調されている。錬成とは「児童の陶冶(とうや)性を出発点として、皇国の道に則り、児童の内面よりの力の限り、即ち全能力を正しい目標に集中せしめて錬磨し、国民的性格を育成することである」としている。
『氷川学報』第10号 国民学校制実施記念号には、次のような記事があり、国民学校の教育実践のあとがみられる。
[図2] 朝礼魂の太鼓(『氷川学報』第10号口絵写真)
「国民学校の一年を回顧して」
学校長
我が国に於て教育の上に大きな改革が行はれたのは明治初年でありますがこれは主として欧米の制度にならって行はれたのであります。然し昨年四月一日から実施されました国民学校は日本本来の姿に基いて真の日本臣民をつくるための学校となされたのであります。従ってこれまでの学校のやうに単に個人々々の立身出世のための機関でもなく又物知りをつくるところでもありません。一年間私達はかゝる指示のもとに学校を経営して参りましたが以下その主たる事項について述べてみます。
全校一心 一 魂の太鼓 二 全校行進 三 勤労作業 四 皮膚鍛錬 五 訓話
「学校から家庭へ」 一年担任
国民学校初等科一年生として輝かしい学校生活に第一歩を踏出し……学課について新制度第一年目である為と非常時下の為に教科書掛図その他教便物に不自由を感じましたがこれも却(かえ)って非常時局認識の一助ともなったことゝ信じます。以下略
このように、港区地域の国民学校も新制度のねらいに向けて発足していった。