新しい国民学校の教科書の編纂(へんさん)にあたっては、国民の戦時意識を高める内容にするために、相当軍部の介入もあった。
それまでの教科書は、国家主義思想や軍国主義思想を教育していたが、非常事態をむかえた決戦下にはそれでも十分ではなかった。そこで、昭和16年(1941)、国民学校の教科書(第5期国定教科書)では、一層、超国家主義、軍国主義の強化宣伝がなされるようになった。そして修身、国語、国史は、まさに中核的な教科として「皇国民の錬成(れんせい)」に寄与していった。算数、理科といった教科も、さし絵や、問題の内容に戦争と関係したものが用いられた。